2023年9月1日は、1923年(大正12年)に南関東地方を襲った関東大震災から100年目となりました。関東大震災は死者行方不明者が10万人を超えるなど、日本の災害史上最悪の被害をもたらした自然災害といわれています。毎年9月1日が「防災の日」と定められているのは、この関東大震災という出来事がきっかけです。
また、9月という時期は台風や大雨などによる被害も多く、一年の中でも自然災害が起こりやすい時期であることから「防災月間」ともされています。各地で防災訓練や防災イベントが活発に行われたり、テレビやインターネットなどで防災に関する情報も多くなる傾向があります。この時期にご自宅での備えを見直されるという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、皆さんの暮らしの備えに役立ちそうな防災グッズを紹介!
防災の日や防災月間に関わりの深い“地震”と“水害”対策に絞り、これまでのSAIBO TECH記事を中心に、「前編」「中編」「後編」でまとめています。
防災グッズを取り入れるうえでは「災害が起きたら何が起きるのか、何に困るのか」という想像や知識を前提として持っていることが大切なので、各災害に対する対策のおさらいも合わせて解説しています。ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。(※本記事は製品に関する広告・宣伝ではありません)
まずは「地震」対策のおさらいから
地震で怖いのは「建物や家具の倒壊」
前編となる今回の記事では「地震対策」にフォーカスしていきます。
日本やその周辺では、人間が体で感じる地震(震度1以上)は1年間に1,000~2,000回程度あるとのこと(参考:公益社団法人日本地震学会)。単純に平均すると、1日あたり3~6回となります。
気象庁によれば、世界で起こる地震のほぼ1/10にあたる数の地震が、日本やその周辺で年間発生しているそうです。
株式会社インテージが2023年に行ったアンケート調査では、自然災害をはじめとした様々な脅威の中で、生活者が最も不安としているのが地震という回答となりました。
地震は規模が大きいと建物全体が大きく揺れ、室内にいると思わぬところからさまざまな物が落ちてきます。震度5強以上の強い揺れでは、テレビや電子レンジ、机などが宙を飛んだり、建物が倒壊することも……。
地震の犠牲者の死亡原因として、最も多いのが「圧迫死(圧死・窒息死)」です。全半壊した建物の瓦礫や転倒した家具に体が挟まれて、多臓器不全を起こしたり、呼吸ができずに命を落としてしまうのです。
阪神淡路大震災など過去の震災事例では、犠牲者の8〜9割以上が建物の倒壊や家具転倒による圧迫死によるものでした。東京消防庁の発表によれば、近年発生した地震でも、負傷原因の約30~50%を「家具類の転倒や落下物によるもの」が占めているそうです。
また、地震後に物が散乱した状態の中では、避難する際に怪我をしてしまったり、倒れた家電から出火し周りの物に燃え移った火災など、二次災害による死傷者も発生します。
2011年の東日本大震災では、地震発生後に巨大な津波が東北の太平洋沿岸地域を襲い、津波による犠牲者が多くなりました。場所によっては津波の可能性も危険視する必要があります。(参考:「3.11 東日本大震災 “M9.0巨大地震”の衝撃」NHK)
さらに命の危険から免れても、生活する上で下記のような困りごとがたくさん出てきます。
・(安否確認のための)通話の集中や通信設備の被災などで電話やインターネットができない/繋がりにくい状態になる
・道路や線路が寸断してその場から長時間動けなくなる
・電気やガス、水道など生活に必要なライフラインが数時間〜数ヶ月止まってしまう
地震が起きた時はどのように行動したらいい?
地震が起きた時に私たちができることは、むやみにその場を移動せず、まず身の安全を確保することです。
室内にいる場合はガラスが割れたり家具が倒れてきたりする可能性があります。窓や大きな家具の近くを離れ、机の下などに潜りましょう。
あわてて外に飛び出したり、調理や暖房などで火を使っている場合でも、無理に消しに行かず、まずは安全な場所に移動をすること。揺れが収まったら、二次災害を防ぐために火元を確認し、ドアや窓を開けて逃げ道を確保しましょう。
屋外にいる場合は、ブロック塀や自動販売機の転倒、ビルの壁や看板、窓ガラスなどの落下が考えられます。危険そうな場所からはできるだけ離れておきましょう。
お店など人が大勢いる施設では、あわてて出口や階段などに向かおうとすると、他の人も追随してパニック状態に陥り、被害が大きくなりかねません。まずはその場で頭を保護して安全な姿勢をとり、施設の人の指示にしたがって行動しましょう。
津波の危険性がある地域にお住まいの場合は、揺れを感じたり「津波注意報」「津波警報」を見聞きしたら、いち早く海岸から離れ、できる限り高い場所へ避難するのが大切です。津波発生後、第一波の引いた後に家に戻り第二波に飲み込まれて被害に遭ってしまうケースがあるので、警報や注意報が解除され安全が確認するまでは被災地域に立ち入らないようにしましょう。(参考:「防災の手引き」首相官邸)
暮らしの中で役立つ地震対策グッズ(6選)
家具や家電をしっかり固定しよう
部屋全体のレイアウトとして、落下すると危険なものを高い場所から取り除き、避難の妨げとなるような場所に家具を置かない工夫が大切です。
倒れた家具が頭に当たったり、家具と壁との間に体が挟まれたりするのを防ぐために、家具はその場から動かないようにしっかり固定しておきましょう。一般的に、背の高い家具には転倒防止対策を、背の低い家具は滑り防止対策が必要です。
家具の固定には、L型金具とネジを使って壁下地に固定するような方法が最も効果的とされています。しかし壁に穴を開けることになるので、賃貸では現実的ではないと思います。
その場合は、壁に傷をつけない転倒防止グッズを複数組み合わせるのが良いでしょう。
株式会社二トムズの「ふんばる君」のように、家具の手前側に挟み込むプレートタイプやマットタイプのストッパーは、手軽に取り入れやすいのでおすすめです。
棚など背の高い家具にはプレートタイプやマットタイプだけでは不安なこともあるので、つっぱり棒など上部の固定も一緒に行いましょう。
例えば、免震・制震装置メーカーのアイディールブレーン株式会社が手掛ける「ガムロック」は、家具と壁をゲルパッド(強粘着材)でつなぎ、力を分散させることでネジよりも効果的に固定するアイテムです。公的機関(財)建材試験センターでの振動テスト(兵庫県南部地震の1.2倍=震度7)において、総重量300kgのスチール家具や薄型液晶テレビなどの転倒防止性能が確認されています。
一般に極めてもろいと考えられている壁紙や塗装壁での使用を前提に開発されており、専用のリムーバーを使うと壁に傷をつけず綺麗に取り外しができます。時間が経つにつれ、埃や汚れなどで粘着力に不安が生じた場合は、中性洗剤で洗うだけで粘着力が復活し何度でも使用できます。
「ヘルメット」や「防災スリッパ」で安全確保!
落下物などから体を守れるアイテムも用意しておくと安心です。
頭をしっかり守るならヘルメットがおすすめ。加賀産業株式会社の「オサメット」のように折りたたみ式であれば、室内での収納場所にも困りにくいですね。
足元の保護には靴やスリッパが有効ですが、底が薄いものだとガラスの破片などが刺さってしまいます。防災を考えるのであれば丈夫なものを用意しておきましょう。
安全靴相当の強度を誇る株式会社アルファックスの「防災ルームシューズ ITSUMO」のようにデザイン性のあるものなら、普段から気軽に使えて便利ですね。
二次災害の火災対策には「感震ブレーカー」がおすすめ
地震で地面が液状化したり、家屋が倒壊したりすると、電柱や電線、地中に埋設しているケーブルが損傷することがあります。すると、停電が起こります。この時に気をつけたいのが、電力が復旧したタイミングで起きる火災です。
地震で損傷した状態の配線などにいきなり通電すると、発熱や発火が起きやすくなります。また、揺れによって倒れた電化製品とカーペットなど燃えやすい可燃物が接触しているような場合は、可燃物に着火したり、火の燃え広がりが早くなるなどの危険性があります。
こうした火災は「通電火災」と呼ばれています。
地震による通電火災を防ぐには、揺れで自動的にブレーカーを落とし、電力が復旧した後も電気を通さないようにすることができる「感震ブレーカー」が効果的です。
感震ブレーカーには、専門業者に頼んで設置してもらうものから、工事がいらない簡易タイプまで幅広い種類があります。例えば三和商事株式会社の「coco断」はコンセントに差し込むだけで使えます。
万が一、地震の後に火災が発生してしまっても、初期段階であれば消火器などで十分消すことは可能です。いざという時のためにすぐ消化活動ができるよう、住宅用消火器や消火剤をご家庭に用意しておくと良いですね。
「中編」に続く!
ここまで、地震対策にフォーカスし、防災グッズについてまとめてきました。続きの記事では「水害」について、普段使いもできる防災グッズを紹介していきます。ぜひお読みください!
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