日本では火災がよく起こる。平成30年に消防庁が出した「平成29年(1~9月)における火災の概要(概数)」によると、前年に起きた出火数は30,651件。1日あたり112件も火災が発生したことになる。火災は非常に身近な災害だ。そのため、建物には必ず消火器が備え付けられている。しかし緊急時に、普段使い慣れていない消火器を扱うのは容易ではないだろう。

今回はもっと簡単に消化活動が行えるアイテムを紹介しよう。
その名も「消える魔球」。
野球の消える魔球になぞらえたユニークなボール型消火剤だ。

引用:平成29年(1~9月)における火災の概要(概数)

消える魔球とは


消える魔球は株式会社メディプランが開発したボール型の投てき消火用具だ。初期消火活動や避難する際の逃げ道の確保に活用できる。消える魔球の特徴は以下の3つである。

①軽くて投げやすい

大きさは、野球の硬式球と同じ直径76mmのサイズ。重さもわずか230gと軽く、女性や子どもでも扱いやすく、火元に命中させやすい。

②素早く消化できる

水の約10倍の消化能力があり、3~5秒ほどで消化ができる。

③消火器より扱いやすい

火元に向かって投げ込むだけなので、事前知識を必要とせず、緊急時に慌てず使用できる。中に入っているのが液体であり、後片付けも簡単である。

また、製品に有害な薬品を使っていないため、人や環境に対しても安心して使用できる。

消える魔球はこんな場所で活躍する


小型軽量で場所を取らないため、あらゆる場所に設置ができる。家庭の各部屋に1つずつといった置き方や、自動車火災に備えて車のトランクに置いておく事もできる。また、持ち運びができるサイズのため、バーベキューや花火といったレジャーに持っていき、火の後始末に活用できる。

特に消火器を用意するのが難しい一人暮らしの家では、火災の備えに重宝するのではないだろうか。

地震でも活躍する「消える魔球」の魅力


火災は地震の二次災害でも発生する。過去の関東大震災や阪神淡路大震災では、火災により
大きな被害をもたらした。平成25年12月に中央防災会議が発表した「首都直下地震の被害想定と対策について (最終報告)」では、近いうちに起こるとされている首都直下地震で、最大約 23,000 人の死者が出ると予測した。そのうち火災による死者数は約 16,000 人と、7割近い想定になっている。このような地震が起こった時のためにも、消火用品の備えは必須になってくる。

地震の際に重要なことは、素早い逃げ道の確保である。消火器の場合、玄関など設置場所がある程度固定されてしまうため、消火までの機動性があまり良くない。しかし消える魔球なら、部屋ごとに設置や防災バックの中に入れることができるため、すぐに取り出せ素早く使える。この機能性の高さこそが消える魔球の魅力である。

参考:首都直下地震の被害想定と対策について (最終報告)

電気やガスで支えられている私達の生活は、地震などちょっとしたことで火災につながる。そして、火災が起きた際に素早く消火活動が行えるかで、生死が分かれる。手数のある消火器と異なり、投げるだけで消化ができる消える魔球。もしもの時のために、備えてみてはいかがだろうか。