日本では、地震や台風が発生しやすいだけでなく、二次災害も発生しやすい。中でも、地すべりや土石流には注意が必要だ。道路が分断され、停電が発生すると、復旧までに日数を要する。

福井県小浜市の仏谷は、かつて災害で孤立したことがある地区であり、短期間に最低限の電力をまかなうことが課題となっている。そこで、株式会社エコスタイルの太陽光発電事業を紹介したい。災害時の電力不足を解決するからだ。

処理場の跡地が発電所に変身


エコスタイルは2017年10月13日(金)、仏谷地区の活用されていない廃棄物処理場の跡地に太陽光発電所を建設し、ポータブル蓄電池の貸し出しをはじめた。

これにより、昼間は発電所から、夜は蓄電池から電力を確保できるようになったため、電力の安定供給が実現した。災害によって孤立したときや、急な停電時も復旧を待たずに電力を使うことができ、さらに介護施設や医療機器を使う家庭にポータブル蓄電池を貸し出し給電することで福祉的活用も可能にした。

このように、防災面だけでなく福祉面においても役立つ点がこの取り組みの特徴である。

電力供給以外のメリット


太陽光発電事業は電力の安定供給以外においても、よい影響を与えている。その事例を3つ紹介する。

1.発電所を環境教育の拠点に

処理場の管理棟には環境教育のパネルを設置しており、子どもたちを対象に再生可能エネルギーに関する教育も実施している。

そのため、発電所は環境教育の拠点として活用できている。

2.雇用創出に貢献

敷地内の草刈等をシルバー人材に委託することで、新たな雇用を生み出した。また固定資産税800万円を小浜市へ20年間納税する。

このことから発電所の設置は、地域経済へ貢献していると言える。

3.マイナスのイメージを刷新する

これまで20年以上、廃棄物処理場を稼働していた。そのため、町には「廃棄物処理の町」とのイメージがあった。

だが、これからは「太陽光発電の町」としてスタートを切れるため、イメージの刷新が図れる。

他の地域でも取り組み可能


埋め立て後の廃棄物処理場では、土地の有効活用が課題となっている。排水処理等の維持管理を続ける必要があるとともに廃棄物の重さによる地盤沈下がある。そのため、土地を好きなように使うことができない。また環境省によれば、全国には約1600カ所の処理場はすでに埋め立てが終了し、今後も処理場が増加すると予想されている。

こうした課題に最適な取り組みが太陽光発電の導入であり、実際に環境省は、導入から運用までのガイドラインを作成している。このガイドラインやエコスタイルが取り組んだ事例をもとにすれば、他の地域でも太陽光発電を導入できる。

私たちは自然災害をなくすことはできないが、災害対策はできる。最低限の電力を自給できる地域が増えることに期待したい。