災害発生時は、通話規制によって携帯電話や固定電話による通話が困難になることが想定される。しかし、「Twitter (ツイッター) 」や「Facebook (フェイスブック)」などのSNSであればインターネット回線での通信のため、災害時でも利用が可能だ。SNSを通じて、お互いに連絡を取り合ったり、自分の無事を伝えることができる。また、これまで災害情報の取得は、テレビやラジオが中心だったが、近年ではSNSを通じて多くの災害情報を取得できるようになった。

そんな災害時のSNS活用について、今回は考えていきたい。

SNS、自治体の活用はどれくらい進んでいるのか

画像:災害対応におけるSNS活用ハンドブック より引用

災害発生時、私たちはまず自分が住んでいる地域が、どのような状況なのかを把握する必要があるだろう。そのために、自治体が運営しているSNSアカウントを確認することは有効だ。今年3月に内閣官房が公開した「災害対応におけるSNS活用ハンドブック」によると、全国の自治体1,741 団体の53.6%に当たる、934団体が災害対応にSNSを活用しているという。さらにこの934団体内の人口は、国内の総人口の約81.5%に達している。災害時に多くの人が、自治体発信の情報にアクセスできる状態のようだ。

ただし、活用方法については、大半が被害状況や支援状況などの発信のみのとどまっている。これに対し、市民からは「災害時、具体的にどう行動すればよいかを示してほしい」「頻繁な情報発信は閲覧意識が下がる」などの声があがっているという。その他にも「SNSからの誘導先である、自治体ウェブサイトが携帯端末での閲覧に適したデザインになっていない」という声もあり、今後の改善を期待したいところである。

Twitterを使って必要な情報を自由に取得

画像:Twitterより引用


Twiiterは自分で選んだアカウントをフォローし、自由に情報取得できることが特徴だ。災害情報を発信するアカウントは多数存在する。中には「警視庁警備部災害対策課」のように、防災に役立つ知恵や知識を発信しているアカウントもある。日常生活でも役立つ人気アカウントだ。自分が必要だと思うアカウントを、必要に応じてフォローしておきたいところだ。

サイボテックの過去記事「自然災害の発生時におけるTwitterの活用法」でも、災害時に役立つTwitterアカウントを紹介しているので、こちらもぜひ参考にしてほしい。

Facebook「災害情報センター」、被災地の支援も可能に

Facebookの「災害情報センター」機能では、家族や友人に自分の無事を伝えたり、家族や友人の安否を確認したりするときに有効だ。これは東日本大震災をきっかけに開発されたサービスで、PCやスマートフォンなどのデバイスを問わず利用できる。

もし、自分が被災してしまった場合、家族や友人に個別に連絡をするのは大変だが、「災害情報センター」を使えば、1タップで素早く自分の安否を伝えることができる。Facebookは実名登録型のため、そのアカウントが誰なのかもすぐに分かる。災害時の安否確認に非常に有効なSNSだと言えるだろう。

これまで「災害情報センター」は、被災地に自分がいる時にだけ使える機能だったが、今年8月からは常設となり、世界中の災害情報の表示が可能になった。さらに、被災地にいる人へ直接メッセージを遅れる「コミュニティヘルプ」機能を使えば、世界中の被災地を支援することも可能なるという。

SNSの情報で気をつけたいのは、「デマ」や「誤報」だ。誰もが気軽に情報発信できる分、そうした情報が混じってしまい、さらに拡散されてしまう場合もある。内容の真偽を確認することはなかなか難しいが、一次情報を確認したり、複数の情報とあわせて確認するなどの工夫が必要だ。また、自分が情報発信する際も同様で、災害時は特に注意したい。

もはやSNSは、日常だけでなく災害時のインフラとしても必要不可欠なものになったといえるだろう。そのため、SNSの活用方法を身につけることは、災害時に自分の身を守るために、必要な備えのひとつだと言えるのではないか。