みなさんは地震による二次災害について知っているだろうか。例えば、火災や津波、ライフライン寸断といったようなものがある。2011年3月11日に起きた東日本大震災では、地震の二次災害として福島第一原子力発電所で停電が起きた。結果として、放射性物質が空中に放出されることとなった。

また、その原発事故の被害を最小限に抑えられなかったのは、意思決定の遅さがあったとされている。今回、二次災害を最小限にするべくコミュニケーションツール「防災ネット」が開発された。

地震大国日本


日本では頻繁に地震が起こる。気象庁によると、東日本大震災後に人的被害を出した地震の数は50回以上だ。記憶に新しいのは、平成30年北海道胆振東部地震だろう。この地震で800人以上の死傷者が出た。また、近い将来には南海トラフ巨大地震や首都直下型地震が起こると言われている。

南海トラフ巨大地震に関しては、同じ震源地で起きている地震の周期が88.2年とされており、前回起きた地震からすでに70年以上が経っている。あと20年ほどで周期を迎えることになり、巨大地震が発生する可能性は高い。地震の揺れにももちろん警戒が必要だが、揺れによって派生する二次災害にも気を配らなければいけない。

「企業防災」という概念


自然災害が多い日本では、「防災」という言葉がキーワードになる。その中でも企業が取り組んでいる「企業防災」という概念をご存知だろうか。企業防災にはいくつかのステップがある。1つ目は、災害を特定することだ。どういった災害に直面しうるのか考え、どれくらいの耐久性を持つか判断する。

次に、お客様や従業員の安否確認方法の確立や食料品・医療品の備蓄だ。ルールがあることで混乱を避けられるし、備蓄があればたとえ孤立したとしても数日間は凌ぐことができる。そして3つ目は、建物の耐震性の確保だ。どれだけ備蓄しようとも、建物自体が倒壊してしまってはすべて水の泡になってしまう。

ここまできて初めて二次災害について考える。企業が出しうる二次災害とは、看板の落下やガラスの散乱が挙げられる。また、災害が起きたときには、いかに早く意思決定ができるかが、二次災害の行方を左右する。

防災ネットの機能と開発背景


では、今回開発された「防災ネット」はどのような機能があるのだろうか。1つ目の機能として、チーム全体での意見共有や情報交換ができるということだ。災害時、個人間の連絡のみでは多くの人と瞬時にやりとりすることが難しい。予め役割分担されているグループ内で連絡を取り合うことが、意思決定を早くするきっかけになる。

次に、「災害Wiki」と呼ばれる機能がある。これは、事前に災害時に必要になる情報をまとめることができる。例えば、緊急連絡網や災害グッズの保管場所などの情報だ。災害が起きてから探すのではなくて、事前に「防災ネット」に登録しておくことで迅速な対処が可能になる。

では、この「防災ネット」が開発された背景にはどんなことがあったのか。1970年、アポロ13号が月への飛行を開始した2日後に酸素タンクが爆発した。ジョンソン宇宙センターは4つのチームを作り、同時に問題解決させ、無事に船員を地球に生還させた。「防災ネット」もこのシステムを使い、災害時に迅速に対処できる仕組みになっている。

まとめ

「防災ネット」は二次災害を最小限に抑える能力がある。自然災害が起きてしまうのはどうしようもないことだ。しかし、その後に起きてしまう二次災害は防ぐことができる。防ぐためには、素早く連絡を取り合い対処の方法を早く意思決定して実行することである。この「防災ネット」には、簡単に素早くコミュニケーションを取る機能がついている。また、災害Wikiのような災害時に役立つ情報を蓄積させることもできる。このようなサービスが当たり前になっていくと、二次災害が抑えられていくに違いない。

東海地震、南海トラフ大地震など大規模災害に向けた企業、官公庁、自治体の防災能力を強化する「防災ネット」をビートコミュニケーションが発表