防災意識の高まりの中、万が一の備えとして見直されているものが支援物資で対応できない個別の生活必需品です。特に高齢の方が日常的に利用されていることの多い「入れ歯」もその一つです。今回は、もしもの時の備えとして高齢者の入れ歯にフォーカスしたサービス、「お守り入れ歯」をご紹介します。

入れ歯の作り直しは「1ヶ月」ほど。災害で入れ歯を無くしてしまった人は……

東日本大震災で入れ歯を無くしてしまった利用者は「5人に1人」

入れ歯の利用者は50代から増え始め、75才以上では60%以上の人が利用しています。 早い人では40代から入れ歯になる人もいます。これほど利用者が多い一方、入れ歯は何かの拍子で壊れやすく、修理に時間がかかるといった難点もあります。

一般的な入れ歯の作り直しは、部分入れ歯なら2週間〜1ヶ月、総入れ歯は1ヶ月の制作期間がかかります(※保険診療の場合)。とはいえ、この期間は平時での場合です。災害時はスムーズに新しい入れ歯を作れないことが想定されるため、入れ歯を失った方は数か月間、入れ歯なしで過ごさざるを得なくなります。

東日本大震災の避難所生活では、入れ歯利用者の5人に1人が、入れ歯の紛失や破損をしていたと言われています。震災の発生が昼食後の時間帯だったため、食後に入れ歯を外したまま避難した人や流されて紛失した人、避難途中に落として破損したといったケースがあったとのことです。

東日本大震災の際、避難所生活で入れ歯がなくて困ったことで一番多かった声は「固形物が食べにくい」というものだったといいます。

入れ歯を失ってしまった方は、避難所で提供される食事のうち、歯茎で潰せるくらいの柔らかいものしか食べることができませんでした。食べ応えもなくメニューも限られてしまうと、食事をするのが苦痛になるだけでなく、栄養が偏って体力も落ちてしまいます。また、入れ歯がないと上手く話したり笑いにくいので、人との共同生活を一層ストレスに感じた方も多かったそうです。

このような困りごとの事例を受けて、歯科技工所の運営を行う株式会社お守り入れ歯(本社:北海道札幌市、代表取締役:池田 昭)が提供を始めたのが、3Dプリンターでの入れ歯制作サービス「お守り入れ歯」です。

3Dプリンターで「いつもの入れ歯」を完全再現!「お守り入れ歯」

 数ヶ月の制作が、最短翌日まで短縮!

「お守り入れ歯」では、普段から使っている入れ歯を3Dスキャナーで読み取ってデータ化し、それを元に3Dプリンターを使って全く同じ形の予備の入れ歯を製作します。

新しい入れ歯は通常1~2週間で完成し、最短では翌日仕上げも可能です。万が一入れ歯を破損しても、今までよりも早く普段通りの日常生活に戻り、食事や人との会話をストレスなく楽しむことができます。

総入れ歯は発送対応が可能で、全国各地でサービスを受けられます。部分入れ歯は微調整が必要なので来院のみの対応になります(サービスの提携歯科医院で受け取りが可能)。

必要な時にクラウドデータから入れ歯を制作できるサービスも

2023年2月には、災害や日常での突然の紛失や破損に備えて、形状データを無料でクラウド保管しておく「入れ歯銀行」というサービスがスタートしました。

最寄りの提携歯科医院で入れ歯(他院で作ったものも可)のデータを作っておけば、入れ歯を作った地元の歯科医院が被災してしまった場合でも、提携先に依頼して全く同じものを作ることができるようになるとのこと。

まとめ

「お守り入れ歯」は2021年9月より提供開始以来、製作数が500個を超えているとのこと。災害の備えとしてだけでなく、入れ歯は普段からも案外紛失や破損しやすいので、もしもの時に予備があると安心するからと人気なんだとか。

現在、お守り入れ歯の提携歯科医院は北海道と東京の3か所ですが、今後は全国から提携先を募集していく予定だそうです。

◼︎提携歯科医院(※2023年3月から全国より提携歯科医院の募集を開始)

  • コンフォート入れ歯クリニック(北海道)
  • ハタテ歯科医院(北海道)
  • ハイライフ日本橋(東京都)


参考:https://www.atpress.ne.jp/news/341468、https://omamoriireba.com/