自然災害の被害者になってしまったとき、簡易トイレの作り方や、怪我の応急処置の方法などをすぐに思い出せないという人がほとんどだろう。上手に検索することができれば問題ないが、ネット上にはさまざまな情報が広がっていて、何が1番良いか判断するのも難しい。もしも災害・防災に関する辞書があったならと思う人もいるだろう。そこで今回紹介するのは「OLIVE」だ。

被災地の生活を助ける情報満載「OLIVE」って?

「OLIVE」とは、災害にあってしまったとき、知っておくと助かるデザインとアイデアのデータベース。まさしく、防災版Wikiといったところだ。

このサイトは、被災地を助けたいという思いがあれば、誰でも自由に書き込むことが可能。編集を希望する場合は、Googleアカウントを取得したメールアドレスで公式HP上に記載されているアドレスに「件名 編集希望」としたメールを送れば、サイト運営者から編集権が与えられる仕組みだ。

もちろん、書き込めるのは自分で検証し、実用的なアイデアだと確かめた情報、またはすでに検証されているものとされている。しかし、だれでも自由に書き込めるという点では、まさしく防災版Wiki。みんなで被災者を助けようという思いでできているサイトだといえる。

日用品から避難所の心得、子供のおもちゃまで!掲載内容も多様

「OLIVE」に掲載されている情報は多様かつ膨大だが、それぞれ、生活、飲食料、医療、対策、救助、電気・ガス・水道、援助、情報と大きく分類されているので、求めている情報を探すのも難しくはない。

なかでも最も情報量の多い分野は「生活」だ。バケツ3杯で効率よく食器を洗う方法や、防寒対策などライフラインが途絶えた際に役立つ知恵や、生理用品のあれこれ、子供が喜ぶ手作りおもちゃまで、幅広い情報が掲載されている。

また、写真や図でわかりやすく解説してある情報も多くあり、非常にわかりやすいのも魅力だ。

データベースの重要性!印刷版・外国語版「OLIVE」も

もしもの時に知っておくと助かる情報が満載の「OLIVE」は、インターネット上だけではなく、印刷版も存在する。さらにサイトは、英語、中国語、韓国語に翻訳されており、少しでも日本語が母国語でない方の役に立てればという思いもみえる。

もしもの時にすぐ知りたい情報が見つかる、よりよいアイデアに出会うことも大切だが、普段から「OLIVE」のような防災ハンドブックを手に取って意識を高めておくことが重要だろう。残念ながら自然災害に見舞われる機会の多い日本では、事前の備えが減災につながる。

さらに、今後増えることが予想される外国人観光客など、日本語が堪能でない方のためにも、命を守る情報の多言語化も取り組むべき課題だ。

 

普段からもし災害が起きたらと考えている人は決して多くはない。「OLIVE」のような、災害時のための情報を紹介する場の重要性を多くの人に知ってもらいたい。それを通じて命を守る知識を蓄え、備えを万全にしてほしい。それが、減災への第一歩だと思う。