被災して、なんとか避難所にたどり着いたけれども、すでに被災者がいっぱいで入れなかった…そんな状況に置かれたら、もうどうしたら良いか分からなくて頭が真っ白になるだろう。

次なる避難所まで歩くのか、そこに場所を見つけて入らせてもらうのか…どちらも気の重くなる作業には違いない。

そこで、仮設住宅を24時間で1軒増やすことができるとしたら、災害を逃れてきたあとの未来も明るくなるのではないだろうか。

ロシアのスタートアップ企業Apis Corが、災害時の住宅の悩みを解決するモバイル型の3Dプリンタを開発した。

「Apis Cor」とは?

Apis Corから引用

Apis Corは自分たちのことをこう説明している。

Apis Cor.
We are the first company to develop a mobile construction 3D printer which is capable of printing whole buildings completely on site.
Also we are people. Engineers, managers, builders and inventors sharing one common idea – to change the construction industry so that millions of people will have an opportunity to improve their living conditions.

現場で家を建設できるモバイル型の3Dプリンタを開発した最初の企業とのことだ。また彼らはエンジニアやマネージャー、建設業者や発明家とアイデアをシェアし、何百万人もの人たちの生活環境を改善するという改革を建築業界にもたらすことができると言っている。

何が革新的なのか?

3Dプリンタはすでにいくつも存在する。そんな中で、Apis Corの3Dプリンタは何が特徴なのか。

  • 例えば通常の家づくりだと、1棟建てるのに早くても1ヶ月かかる。しかし、Apis Corの3Dプリンタは100平方メートルの家をたったの24時間で建てることができる。
  • コンクリートのミキサーを積んでいるので、使う分だけその場で建設することができ、余分な建設廃棄物を出すことがない。
  • 3Dプリンタ本体は4m×1.6m×1.5mで2トンという、重機としては軽量なサイズなので、1台の移動式クレーン車で運ぶことができる。
  • 途中で材料を置いたりする必要があるので、それらの運用管理で人が2名必要である。しかし、たった2名+3Dプリンタ1台で家を建てることができる。

人も材料も、時間も資金も節約することができる。

日本の仮設住宅事情は?

支援体制が整うまで、体育館などの施設での集団生活になることが多い。スペースなんて自分のいる分しかない、プライベートなんてない…被災してしばらくは堪えられても、そんな状況下で長くいたら精神的にまいってしまう。

そんなとき、部屋が分けられている仮設住宅は、体育館などの施設よりもプライベートが守られる。もちろん、通常の住宅よりかは、建設するにあたっての早さ・安さ・数の多さを優先に作られた仮設住宅はやや住みにくい。しかし被災者同士の集団生活よりは幾分も良いだろう。

もう少し状況が落ち着いてきて、誰しもが仮設住宅から脱出できるかというと、そう簡単な話でもないようだ。仮設住宅から出るには、新しく家が必要になる。中古であれ新築であれ賃貸であれ、例えば高齢者の方に今後支払っていけるだけの収入や貯蓄があるだろうか。若い世代でローンが組めたとしても、被災前に住んでいた家のローンがある可能性もある。二重ローンはとても重く、経済的な理由から家庭が崩壊し、離婚となってしまう例もある。

Apis Corの3Dプリンタが生み出す住宅が、それらの問題も解決することができる発明となることを願う。

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