2011年3月11日に発生し、大切な人やモノを奪った「東日本大震災」。多くの人が、恐れ、憤り、そして悲しんだ災害である。この被害は忘れてはならず、また、後の世代へと伝えていかなければならない。

しかしながら、時の流れとは残酷なものだ。被災者たちのそんな思いもむなしく、時間とともに当時の記憶は薄れていってしまう。それはまるで、悲惨な戦時中の記憶を持たない我々現代人のように。

そんな中、当時の被害の状況や被災者の声を世界に向けて発信しようとするサービスが生まれた。「東日本大震災アーカイブ」だ。

一体、どのようにして伝えていこうとしているのだろうか。

「東日本大震災アーカイブ」とは


東日本大震災アーカイブとは、震災の被害状況を可視化し、災害の真の姿を世界に伝えることを目的として作られた多元的デジタルアーカイブス(有形・無形の文化資源等をデジタル化して保存すること)である。被災地の写真や被災者の証言を、デジタル地球儀に重ね、どこに住んでいる人がどのような悩みを抱えているかを見ることが可能になっている。

このアーカイブは、首都大学東京の渡辺英徳准教授を中心としたチームが制作を担当。そこに、朝日新聞の「今伝えたい千人の声」から抜粋された声を掲載し、「東日本大震災アーカイブ」が作られた。紙の資料とは違って、デジタルの情報なのでいつでも見たいときに見ることができる。時の流れによって、古びることもない。

この東日本大震災アーカイブを通して、被災にあった「個人としての思い」と「震災被害」の両方を見ることが可能である。

被災者の本当の声

東日本大震災アーカイブ より引用

東日本大震災アーカイブを開くと日本地図が表示される。その上には多くの人の顔が掲載されたピンがさされている。ピンをクリックすると、その人が当時悩んでいたことや震災後の心境といった、実際の被災者の声を見ることができるのだ。

文字だけで読むと、他人事のように思ってしまう方も多いだろう。しかしながら、アーカイブではその人の顔写真まで表示される。なので、どんな年代の人がどんな心境だったのかを1つ1つ見ることができるのだ。

また、オレンジ色のアイコンをダブルクリックすると、被災地で撮影された当時の現地の写真や動画が表示される。twitterのアイコンである青い鳥をクリックすると、当時どんなつぶやきがあったかも見れる。

是非とも、多くの被災者の声や当時の状況を見て、災害の恐ろしさを改めて意識してほしい。

IPhone用ARアプリもリリース

Nagasaki.mappingより引用

「東日本大震災アーカイブ」は、IPhoneのアプリ(無料)「eARthquake 311」でも使用可能だ。

地図で資料を表示するモードでは、地図上のマーカーをタッチすると当時の写真が表示される。さらに現地でGPS機能を用いると、東日本大震災が引き起こした状況を見ることができるのだ。

また、「AR(拡張現実)モード」に切り替えると,実際の街並みをカメラで眺めながら、当時の被害状況と写真を重ねられる。被災地へ行ったら、当時と今の状況を比較してみてはいいかがだろうか。

時間とともに当時の恐怖感が和らいでいっている。それ自体はいいことだ。しかしながら、「和らぐ」と「忘れる」には大きな違いがあることを胸に秘めておいてほしい。

東日本大震災の悲惨さは忘れてはならない。また、後の世代には伝えていかなければならない。それが、震災の恐ろしさを知っている我々の使命なのだ。

東日本大震災アーカイブはこちら:http://shinsai.mapping.jp/index_jp.html
eARthquake 311のダウンロードはこちら:http://itunes.apple.com/ja/app/earthquake-311/id486060583?ls=1&mt=8