防犯対策やセキュリティでおなじみの「セコム株式会社」。日本で初めて企業向けのセキュリティシステムを開発したり、家庭向けのセキュリティシステムを販売するなど、日本のセキュリティ業界を引っ張っている一社である。

そんなセコムが、新たに開発したのが「セコム飛行船」。上空から広範囲を監視する民間防衛用の飛行船であり、既に「東京マラソン2016」や「G7伊勢志摩サミット」で運用されている。

この「セコム飛行船」は、防災分野においても、その活躍が期待されている。では、災害地においてどのような役割を果たすのだろうか。

空中から街を見守る「セコム飛行船」


民間防犯用として実用化された「セコム飛行船」。セコムがこれまでに培ってきた画像認識技術やセンシング技術、そして飛行ロボット技術などを駆使して開発した飛行船である。全長約20m、直径5.6mの大きさで、地上から電源供給と通信機能を有したケーブルでつなぎ、上空から街を監視する。

セコム飛行船には、4Kの高精細カメラ3台と熱画像カメラ1台が搭載されており、地上の監視カメラでは捉えられないところまで監視することが可能だ。これらカメラで撮影された動画は、リアルタイムでセコムの「セキュアデータセンター」に送られる。もしなにか問題が発生した場合は、セキュリティのオペレーションを担うセコムの部署へ動画が送られる。そして、これまで培ってきたビッグデータ解析技術によって処理され、その状況にあった最適な対応を取ることができるような仕組みとなっている。

セコム飛行船には他にも、集音マイクや指向性スピーカー、サーチライトなどが搭載されており、万全な警備システムを備えている。

災害地でも活躍

セコム株式会社報道資料より引用


「セコム飛行船」は防災分野での活躍も期待されている。例えば、地震や洪水など、大規模な災害が発生したとき。

上空にあるセコム飛行船は、カメラを通して街全体の状況を把握し、指向性スピーカーを通して、被災者への避難誘導をすることができる。また、夜みたいな暗闇の中では、サーチライトで避難ルートを照らし、被災者の足元を照らすことも可能だ。

さらに、飛行船の高速無線通信装置を仮基地局にして、通信機能が切断された被災地での通信状態を保つこともできる。

上空から街を見守ってきた「セコム飛行船」。

今後は「防犯」だけでなく「防災」でも応用されていくであろう。