自然災害時、地形が崩れ、人が立ち入れない危険地帯が、数多く生まれる。そのような場所で、要救助者を見つけたり、助けたりして活躍するのが「レスキューロボット」だ。

レスキューロボットは、がれきの中や倒壊現場など、人が容易に立ち入ることが出来ないような地域で活躍できるよう設計されている場合が多い。今回紹介する災害対応ロボット「Quince(クインス)」も、その一つである。

危険な現場へ駆け込む!災害対応ロボット「Quince」

fuRo 公式HPより引用

東北大学や千葉工業大学などを中心に、様々な研究者や研究機関が協力し、開発した災害対応ロボット「Quince」。高性能な運動性能と計測機能を有しているため、人間に代わって、CBRNE災害(化学(Chemical)、生物(Biological)、放射性物質(Radiological)、核(Nuclear)、爆発物(Explosive))の際に,現場に進入し、情報収集するなど、状況調査を行うレスキューロボットである。
最近では、福島原子力発電所へ、国産で唯一、モニタリングロボットとして使われた。その時は、高濃度に汚染された原子炉建屋に遠隔操作で入り込み、情報を収集するなど大活躍をしている。

そのような、人が立ち入ることが困難な災害現場で活躍できる「Quince」は、一体どのような機能を備えているのだろうか。

多種多様な災害現場に対応

「Quince」は、どんな災害現場で活躍できるよう、以下のように、様々な装備や機能を備えている。

起伏の激しい地域でも活躍できる「クロ―ラベルト」と「サブクロ―ラベルト」

fuRo公式HPより引用

レスキューロボット「Quinone」は、移動用のクローラベルトと4本のサブクローラベルトを用いている。
移動用クロ―ラベルトとは、本体部分についているでこぼこのあるベルトのこと。このベルトを使用すると、接地面積当たりにかかる重量が小さくなるため、軟らかい地盤の上でも走行することができる。
加えて、「Quinone」は腕のような4本のサブクロ―ラベルトを有しているため、起伏の激しい場所やなど、様々な地盤に対応できる仕様になっている。

遠隔操作を可能にしている、「半自律操縦システム」

fuRo 公式HPより引用

救助ロボットは人が立ち入ることが出来ない被災現場で活躍する必要がある為、遠隔操作にてコントロールされている。
しかしながら、被災現場では、移動することが困難な場所や、通行を妨げるような障害物があり、遠隔操作のみで操縦するのは、大変難しい。
そのような時に活躍するのが「半自律操縦支援システム」。進行方向を指示するだけで、ロボットが自ら障害物を判断し、乗り越えられるようになる。

周りの環境を認識する「三次元計測」

東北大学田所・大野・多田隈・岡田・永野・小松/昆陽研HPより引用

災害現場において、内部の環境を素早く把握することが、被害を最小限に抑えるために求められる。「Quince」では、レーザースキャナを用いることで、災害現場を移動しながらリアルタイムで、周りの環境情報を収集する「三次元計測」を備えている。

他にも、壁やがれきなどの障害物を分別して認識したり、小型複眼カメラシステムなど、救助活動を支援するシステムや装備が搭載されている。

人が立ち入ることができない危険地帯で活躍するレスキューロボット「Quince」。
今後も、より多くの被災現場で活躍していくだろう。