「いざという時の備え」といえば、食料や水などの備蓄用品をイメージする方は多いでしょう。しかし、いざという時にまずやらなければいけないのは、一刻も早く命を守るために動くこと。地震であればすぐに机の下に隠れたり、自宅にいるのが危なければ避難所へ避難したりしなければなりません。そうした場合の、身の安全を確保するための「移動手段」について、備えを意識したことはあるでしょうか?
今回の記事では、日常生活はもちろん災害時の移動手段などに役立つ最新モビリティをご紹介します。
生活のスキマにフィットする「タタメルバイク」
変形ロボと袖机から着想された小型モビリティ
株式会社ICOMA(本社:東京都中野区、代表取締役:生駒崇光)の「タタメルバイク」は、その名の通り、折りたためる電動バイクです。
通常は全高1,000mm、全長1,230mm、全幅650mm。一般的な原付やスクーターの多くは1900mm前後、自転車の小径車モデル(ミニベロ)はおよそ1300mm〜なので、乗り物にしてはかなり小ぶりな印象です。
折りたたむと全高690mm、全長690mm、全幅260mmと、さらにコンパクトになります。
国内で売られているテーブルの高さは一般的に700mm(70cm)前後だといわれています。そのため、タタメルバイクはたたんだ形状であれば机の下にしまいこむことが出来るんです。
この斬新なデザインは、おもちゃメーカーに勤務経験のある開発者が、子どもたちに人気のある「変形ロボット玩具」とオフィス机にお馴染みの「袖机」から着想を得て生み出したそうです。
そんなタタメルバイクには大きく2つの特長があります。
特長1 モビリティとして優れた実用性
1つ目は「生活の中のモビリティとして優れた実用性」です。
タタメルバイクの動力は「電気」です。バッテリーはリン酸鉄リチウム電池(51.2V)を搭載しています。リン酸鉄リチウム電池は蓄電池の中でも長寿命で安全性が高く、長時間使用せずに放置していてもほとんど自己放電することがありません。
バッテリーはご家庭のコンセントで簡単に充電することができ、3時間充電すれば、約30km走り続けられます。バッテリーを29Ahまで増設し、走行距離を伸ばすことも可能です。
最高時速は40km(後述しますが、原付一種区分のため、公道上では30km/h制限あり)。車体は10インチのホイールと丈夫なサスペンションがついており、凸凹道や小さな段差もしっかり乗り越えます。
USBで外部給電もできるので、“走るポータブル電源”としても活躍します。ICOMAの「ワケーション例」を紹介する動画では、外部給電を活かして屋外でタタメルバイクと仕事をする様子があるのでぜひ観てみてください。
ちなみに、タタメルバイクのような「電動バイク」は運転するのに免許が必要です。ガソリン車が排気量によって原付一種・原付二種・普通二輪免許(中型免許)・大型自動二輪免許(大型免許)と免許区分があるように、電動バイクもモーターの定格出力(安定して出力し続けられる電力の量)によって免許が区分されています。
タタメルバイクのモーターの定格出力は600W。原付一種はもちろん、普通免許で運転できます。
また、先ほど紹介したように、タタメルバイクは非常にコンパクトなつくりになっています。たたんでしまえば家の中に持ち運べるサイズになるため、駐車場が要りません。バイクや自転車など移動手段が欲しいものの、家に駐車できるスペースがなくて諦めていた方や、「車で移動する距離ではないけど、歩いて行くのも……」というような“ちょっとそこまでのお出かけ”が多い方にはぴったりですね。
たたんだ状態はまさに袖机のような「家具らしい見た目」なので、家の中に入れても生活空間に違和感がないのもポイント。乗り物としてのしっかりとした実力を備えながら、これまでバイクが入り込めなかったあらゆる生活シーンへ自然に溶け込みます。
特長2 自由度が高い“遊べるバイク”
もうひとつの特長は「外装カスタマイズの自由度が高く、持ち主のライフスタイルや趣味のこだわりを叶えてくれる」こと。
タタメルバイクの側面にある大型サイドパネルは着脱可能。スマホカバーのように着せかえられるんです。好みのカラーリングやデコレーションを施したパネルを設置しても良いですし、デジタルサイネージを設置して動的な装飾を施すこともできます。アイデア次第でさまざまなデザインの可能性が広がります。
自分の好みで世界にひとつだけしかないオリジナルバイクに仕上げられるのはワクワクしますね!
公式サイトにカスタマイズ例が掲載されていますので、ぜひ見てみてください。
災害時にタタメルバイクはどんなメリットがある?
効率のよい避難手段やポータブル電源として活躍
一刻も早い避難が必要な災害時には、徒歩はもちろん電動自転車よりはるかに早いタタメルバイクは優秀な避難手段になり得ます。特に、原付やスクーターなどを維持するスペースを確保することが難しかったり、車の通れない狭い道が多い地域にお住まいの方、ご自宅から少し避難所が遠い方にとってはとても便利でしょう。
また、防災の備えで「非常持ち出し袋は背負って持ち運べる量に」とよく言われていますが、移動手段がタタメルバイクであれば、荷物の量を増やしても持ち運ぶことができそうです。
さらに、タタメルバイクはUSB給電のできる“ポータブル電源”としても使えるため、非常時のスマホ充電などに役立てることもできます。
本体の充電はコンセント式で、特別な充電器などは必要としないため、コンセントの差し込み口のある場所に行けば簡単に充電できるのもメリットです。
タタメルバイクは「2023年春〜」発売予定
暮らしのものづくり技術を現代に活かし続ける
2023年2月26日に、タタメルバイクは最新テクノロジーが集結する世界最大規模の展示会「CES 2023(Consumer Electronics Show、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」において、特に優れた製品に贈られる「CES 2023 イノベーションアワード」を受賞。国内だけでなく海外からも注目を浴びる製品となりました。
車両の一般販売は2023年春頃から、小ロットでの受注販売が予定されています。今後SNSや公式サイトで価格やその他詳しい情報の告知があるとのことで、興味のある方はぜひフォローしておくとよいでしょう。
まとめ
日常生活はもちろん非常時にも役立ちそうなタタメルバイク。今回紹介したものは原付一種仕様ですが、より馬力のある原付二種仕様も予定があるとのこと。本格的な量産に向けた動きもあり、これからますます注目を集めていきそうです。
参考:https://www.icoma.co.jp/、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000112197.html