2011年3月11日14時46分、宮城県の三陸沖を震源として発生した「東日本大震災」の教訓は、国内防災サービスの発展に多くの影響を与えました。特に災害下における個人の情報収集サービスについては、スマホの普及やテクノロジーの進歩とともに「防災アプリ」という形でめざましい進化を遂げています。
今回の記事では、SAIBO TECHが独自にチョイスした「スマホに入れておきたいおすすめの防災アプリ」と「2023年気になる最新防災アプリ」、あわせて10つの厳選アプリをまとめてご紹介していきます。ぜひこの機会に気になるものをダウンロードしてみてください!
スマホにこれは入れておきたい!おすすめ防災アプリ3選
まず紹介するのは知名度や信頼性が高く、多くのユーザーに支持されている人気の防災アプリです。災害情報収集に特化しており、初めて防災アプリを入れる場合でも、これを抑えておけば間違いない!というものを厳選しました。
①「Yahoo!防災速報」
「災害時の情報不足が心配」な方はこれ!
- 避難情報
- 緊急地震速報・地震情報
- 津波予報
- 大雨危険度
- 豪雨予報
- 土砂災害情報
- 河川洪水情報
- 気象警報
- 熱中症情報
- 火山情報
- 国民保護情報
- 防犯情報
- 自治体からの緊急情報
- 異常感知情報
と14種類もの災害情報をプッシュ通知で知らせてくれるのが、「Yahoo!防災速報」です。
さまざまな情報を通知してくれる機能は、災害前の備えだけでなく、災害発生後にも役立ちます。
例えば地震が起きた場合、その後に土砂災害や津波といった「二次災害」の危険性が高まります。しかし、緊急地震速報や地震情報など地震に関する情報(一次災害の情報)だけしか得ていないと、気づかないうちに二次災害に巻き込まれてしまう恐れがあるかもしれません。「Yahoo!防災速報」のように複数の防災情報をまとめて把握できるアプリがあれば、二次災害にも備えやすくなるでしょう。
アプリで取得できる災害情報は、お住まいの地域のものだけではありません。
現在地含め国内3カ所まで地点を登録し、それぞれの地域の防災情報を取得することができます。「自宅から職場が遠い」「外出や出張が多い」「大切な人が遠方にいる」といった場合に大変便利です。
ところで、災害が起きたときにはTwitterなどのSNSを見るという方、多いのではないでしょうか。
SNSは写真付き投稿やユーザーの生のコメントがすぐに反映されるため、リアルタイムな情報が欲しい緊急時にはとても便利ですよね。
しかし、そんなSNSにも落とし穴が。
投稿者の位置情報が分かるとは限らないため、「どこで災害が起きているのか」「自分の近くに危険が迫っているのかどうか」は正確に分からないのです。
そんな落とし穴をカバーした機能が「Yahoo!防災速報」には搭載されています。「災害マップ」という機能です。
災害マップでは、このアプリを使っているユーザー同士や報道メディア・NPOなどの連携パートナーによる投稿を地図上で見ることができます。災害がどこまで迫っているか、どこでどんな災害が起きているかを具体的に把握できるのです。
特筆すべき点が、災害状況を知らせる一定数のユーザー投稿が所定の条件のもと異常が発生していると判定された場合にプッシュ通知で知らせる「異常感知通知」。テレビなどのニュースではタイムラグが発生しやすい「現場にいる人しか分からない異変」をいち早く捉え、避難行動につなげることができます。
“災害からの逃げ遅れ”を防ぐことを目的とした「防災タイムライン」も便利な機能です。事前に自宅や周辺環境、世帯構成などを入力すると、パーソナライズ化された災害警戒時における防災行動を確認できるようになります。
その他にも、普段の備えから災害で困ったときに役に立つ情報を幅広く掲載した「防災手帳」機能もついており、知識として防災を知るのにも役立ちます。
(運営:Yahoo Japan)
②「特務機関NERV防災」
「とにかく早い通知」や「見やすさ」を求める人はこれ!
「特務機関NERV防災」は、地震・津波・噴火・特別警報の速報や洪水や土砂災害といった防災気象情報を、利用者の現在地や登録地点に基づき最適化して配信してくれる防災アプリです。
気象庁の気象業務支援センターと接続した専用線からダイレクトに情報を受け取っているため、国内最速レベルの速さで信頼性の高い情報を発信してくれます。
“情報のアクセシビリティ(誰もが自分に合った手段や形式で情報にアクセスできること)”というテーマで開発されたバリアフリーなデザインも大きなメリットです。誰もが見やすい配色やフォントが使われているほか、視覚障害や識字障害をお持ちの方にもわかりやすい「音声読み上げ機能」もついています。
刻一刻と変わる災害下では、たくさん情報を見ることができたとしても、理解するのに時間がかかれば、逃げ遅れてしまう可能性も考えられます。見やすくわかりやすいビジュアルであることは、緊急時に必要なアプリという役割においてとても重要なポイントです。
英語圏の文化的背景を考慮し、日本に慣れていない方でもわかるようローカライズされた英語配信バージョンもあります。留学生や在留外国人の方にもおすすめです。
(運営:ゲヒルン株式会社)
③「NHKニュース・防災」
「動画」で防災情報を見たい人はこれ!
「NHKニュース・防災」は、その名の通り、NHKが提供するニュースをもとに防災情報を入手できるアプリです。
NHKの最新ニュース速報、地震・津波の情報、特別警報や気象警報、土砂災害警戒情報、記録的短時間大雨情報、河川の氾濫に関する情報(氾濫警戒情報、氾濫危険情報、氾濫発生情報)、避難情報(避難情報・高齢者避難等開始、避難勧告、避難指示・緊急、警戒区域)、熱中症情報などを設定地域に応じて通知してくれます。
大きな災害が発生した時には、NHKテレビのニュース番組をアプリでライブ視聴できるようになります。国内各地にあるNHKや国土交通省のライブカメラ映像を通し、遠隔地の様子をリアルタイムで確認もできます。
アプリの映像は「ピクチャー・イン・ピクチャー機能」により、別のアプリを操作しながらでもスマホやタブレット上で視聴し続けられます(対応OSは、iOS14以上、Android8.0以上)。
ほとんどの防災アプリは文章や地図上での表示が多いなか、映像で詳しい情報収集ができるのは、NHKのアプリならでといえるでしょう。
(運営:NHK)
……ここまで「情報収集」に特化したアプリを紹介してきましたが、どれだけ情報が集められたとしても、いざというときに実際に動けなくては意味がありません。
ここからは、命を守る行動に役立つアプリを4つご紹介します。
命を守る防災アプリ4選
①「MySOS」
もしものときに自分と周囲の命を守りたい人へ
「My SOS」は、いざという時に必要な医療情報をスマホで持ち歩ける救命・医療補助アプリです。
「一次救命処置ガイド」「成人・小児緊急ガイド」「応急手当ガイド」といった傷病時の手当ての方法が掲載されています。
引用:MySOSアプリ
災害時は自分が怪我をしてしまう可能性だけでなく、怪我をしたり気分が悪くなる人に出会う可能性が高くなります。しかし、「傷病人に対して何をしたらいいかわからない」「なんとなくわかっているけど、いざというときにすぐ動けるか自信がない」という方は多いと思います。
このアプリでは傷病人の緊急度を判断するポイントが箇条書きで書かれていたり、イラストでわかりやすく説明されています。医療の知識がない人でも命を守る必要最低限の行動をとれるようになるのが心強い点ですね。
事前登録した家族や同じアプリをインストールしている近隣の人に、アプリを通じて匿名・無料のSOS発信をしたり、119番で救援依頼をすることもできます。
自身や家族の健康情報、持病、お薬、処方履歴、透析履歴、通院履歴、かかりつけ医、MRI・CTなどの医用画像などの情報を「マイカルテ」にまとめておけます。万が一、自分や家族が大怪我をしてしまった場合に、搬送先の病院でマイカルテの情報を託すことで、医療関係者のスムーズな対応につなげることも可能です。
(運営:株式会社アルム)
②「防災情報全国避難所ガイド」
掲載箇所16万超!必ず避難所へ辿り着きたい人へ
「防災情報全国避難所ガイド」は、全国の自治体が定めた災害時の避難所や避難場所を検索し、ルート案内をしてくれる災害時用ナビゲーションアプリです。オフラインにも対応しています。
収録している避難所データは、2023年3月時点でなんと167,139件!
アプリを起動すると、GPS機能で現在地周辺の防災情報と避難所が自動で検索されます。同時に、オフラインになっても使えるよう、検出された避難所と地図データが保存されます。施設名や住所の一部から、全国の自治体ごとに避難所を探すこともできます。
平面の地図だけでなく、「ARカメラ・コンパス機能」により避難所や登録した自宅の方向をAR画面上で見ることができます。目の前の景色と照らし合わせて方向確認ができるので、地図を読むのが苦手という人にも安心。とっさの時でも、避難所へ移動する際のタイムロスを防ぎます。
他にも、避難勧告や国民保護情報、気象警報や地震情報などの防災アラートに加え、携帯電話各社の災害用伝言板やパソコンから登録された情報が確認できる「安否登録・安否確認」機能、Twitterで防災情報を発信する国のアカウントがまとめられた「Twitterライフライン表示」などの機能も搭載されています。
「どこにいても確実に避難したい!」という方におすすめのアプリです。
(運営:ファーストメディア株式会社)
③「東京都防災アプリ」
命を守るための知識を楽しく学べる
「知識」がなければ適切な行動はできません。とはいえ、防災に関する勉強というのは、忙しい生活の中で優先度が低くなってしまったり、なんとなくとっつきにくかったり、そもそも興味が湧かないこともあるかもしれません。
そんな方におすすめなのが「あそぶ」「まなぶ」「つかう」をコンセプトに、楽しみながら防災の基礎知識を得られる「東京都防災アプリ」です。名前に「東京都」とついていますが、東京に住んでいない方も使えます。
東京都が冊子で出している防災本がまるまる2冊分入っており、オフライン下でも読むことができます。内容は「普段からの防災対策」や「災害発生時の対処法」だけでなく、避難所における授乳や防犯対策など、被災生活で生じるさまざまな課題への対処法まで幅広く網羅しています。
防災の備えをしているという人は多いものの、「被災生活での課題」まで想像し、準備や対処法がわかっているという方は意外と少ないかもしれません。このアプリがあれば事前に心構えや準備をしたり、実際の被災生活でトラブルに遭遇したとき、手引書としても活躍させられそうです。
他にも「防災マップ」、「雨雲レーダー」、「水害リスクマップ」や登録したエリアの災害情報を受信する機能などもついています。
このアプリは他の防災アプリに比べると、かわいいイラストが盛りだくさん。親しみやすさを感じられる工夫がこらされています。防災を知識として学ぶことにとっつきにくさを感じている人も、このアプリなら楽しく学ぶことができますよ。
(運営:東京都)
④「SAIBOU PARK」
緊急時に「コレがなかった!」「賞味期限が切れていた!」を予防
命を守るために大切な備えといえば、非常用持ち出し袋や食料の備蓄ですよね。みなさんの中にも、すでに準備が済んでいる方が多いと思います。こうした備えは一度準備したら終わり、ではありません。いざというときに「やっぱりこれがあればよかった……」と持ち物不足を後悔したり、「食料の消費期限が大幅に切れていて食べられなかった……」などということを防ぐために、定期的な見直しや適切な補充、管理が必要です。
ご自宅での備えの管理に役立つアプリが、「SAIBOU PARK」です。
使用方法は、自宅にあるアイテムの写真を撮り、数量や保管場所、消費期限を登録するだけ。食品については消費期限が切れる1ヶ月前と2週間前にプッシュ通知を設定し、ローリングストックに役立てることができます。
昨今はたくさんの魅力的な防災グッズや非常食があり、見かけたときについつい買ってみたくなってしまいます。しかし、買った後で家に帰ってみると、似たようなものをすでに用意していた……なんてことがあるかもしれません。
このアプリがあれば、自分の備え済みのものをすぐに確認することができます。他のアイテムを買う際には、「すでに持っている防災グッズの機能と重複していないか」「追加で買うにしても多すぎる備蓄にならないか」などの判断ができ、ムダ買いを防げます。
備え忘れのアイテムがあれば、アプリから直接、防災用品専門のセレクトショップ「SAIBOU PARK」で購入できるのも便利です。
(運営:サイボウデジタル株式会社)
2023年、今年気になる最新防災アプリ3選!
最後に、SAIBO TECHが注目している「今後伸びていきそうな防災アプリ(防災機能を持ったアプリ)」を紹介していきます!
①「クロスゼロ for ファミリー」
「クロスゼロ forファミリー」は、2023年3月6日にリリースされた家庭向け防災・備災支援アプリです。
開発元の株式会社建設システムでは、もともと法人向けに災害発生前から発生時・発生後まですべての行動をサポートする安否確認・防災・備災支援アプリ「クロスゼロ(有料)」を提供しており、今回はその家庭向けバージョンということです。
「クロスゼロ for ファミリー」は無料で利用でき、最大6名まで家族を招待可能です。
このアプリは、「災害前の備え」→「災害発生時」→「災害発生後」にそれぞれ役立つ機能が搭載されているのが特徴です。
「災害前の備え」では、
- 静岡大学 藤井基貴研究室が監修した「防災トリセツ」
- 備蓄と持ち出しチェックリスト
- ハザードマップ、避難所情報
があり、「災害発生時」には気象庁からの幅広い気象情報を即座に通知してくれるほか、各自治体が配信するハザードマップや、最新の避難所情報を確認することができます。
「災害発生後」には、
- 気象情報と連携した自動配信or手動配信で家族の安否確認
- 位置情報の共有
- 家族チャット
- 家族と連絡が取れるかをバッテリー残量で共有
- ユーザー同士の災害リスク情報発信
といった機能を活用できます。
特に面白いと思ったのは、「家族と連絡が取れるかどうかをバッテリー残量で共有できる機能」です。
災害時に遠方の家族とスマホで連絡が取れないと不安になってしまいますが、相手がバッテリーが切れているから連絡ができない場合、それがわかるだけでも安心できますよね。バッテリー残量が少なかった場合、連絡は控えめにしようと心がけたり、相手のもとに行く際に充電器などを用意していくなどの判断もすることができそうです。
(運営:株式会社建設システム)
②天気予報専門メディア「tenki.jp」
天気予報専門メディア「tenki.jp」とは、一般社団法人日本気象協会が発表する気象情報を、Webサイト/スマートフォンアプリで無料提供している天気予報専門メディアです。Webページ・スマートフォンアプリ合わせて、年間ページビュー数は56億PV。生活に欠かせない天気予報に加え、専門的な気象情報、地震・津波などの防災情報も確認できます。
2023年1月23日にアプリ内コンテンツの「雨雲レーダー」がアップデートされ、全国各地の1時間前から現在までの10分ごとの雨雲の「実況」と、現在から48時間後までの雨雲の「予報」を見ることができるようになりました。アップデート前の予報は15時間先だったので、大幅な機能向上です!豪雨被害が年々大幅に増えて続けている国内情勢を鑑みると、ダウンロードしておきたいところ。
前日夜に行うお出かけ計画の最終チェックや、出張前の荷造り、天気の影響を受ける外出予定の判断材料など、普段からさまざまなシーンで役立てられるのもメリットです。
(共同運営:一般財団法人 日本気象協会、株式会社 ALiNKインターネット)
③「SilentLog」
「SilentLog」は、アプリを立ち上げておかなくても、ユーザーの移動手段、経路、歩数を自動で記録し、撮影した写真と共に、その日の行動として時間軸に沿ってまとめるライフログアプリです。
防災アプリではありませんが、2022年に「防災機能」が追加されており、2023年3月10日には「防災マップ機能」が新たにリリースされました。
先に追加された「防災機能」は、ユーザーがよく行く場所を集計してその地域に応じた防災情報のプッシュ通知をしてくれるというものでした。新たに追加された「防災マップ機能」では、日本全国の指定緊急避難場所とハザードマップ、防災情報発令地域が地図上で確認できるようになりました。
「SilentLog」自体はライフログアプリなので、「待ち合わせ機能」や「この日の満足度の記録」など、日常がちょっと楽しくなる面白い機能が搭載されています。有料機能もありますが多くが無料で使えるので、興味を持った方はぜひインストールしてみてください。
(運営:レイ・フロンティア株式会社)
まとめ
インターネットや技術の発展により、いつでもどこでも、災害に対象できるようになってきました。お手元のスマホが“命を守る鍵”になる防災アプリは、今後ますます便利な機能が追加されていきそうです。
今回紹介したアプリは基本的にすべて無料で使えます。この機会に、ぜひスマホへダウンロードしてみてください。