若者を中心に大人気のショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」が、2021年12月に防災専用アカウント「TikTok防災ガイド」を開設。大雨が予測される場合や大規模地震・噴火等が発生した際などに気象庁が開催する緊急記者会見を、ライブストリーミング機能「TikTok LIVE」で同時配信する取り組みを始めました。

人気アプリ「TikTok」が強化する、日本の防災情報発信!

「TikTok」とは

2017年に日本へ上陸し、若者でのブームを皮切りに幅広い年齢層に広がりつつある「Tiktok」は、15秒から1分ほどの短い動画を誰でも簡単に作成・投稿できる動画共有サービスです。スマートフォンのアプリから隙間時間やちょっとした暇つぶしとして気軽に楽しめるため、ここ数年急激にユーザーを伸ばし続けています。

開発および運営を手がけるのは中国のメディア企業・ByteDance株式会社です。日本をはじめ、世界150カ国75の言語でのユーザーに幅広くサービスが利用されているため、世界中にオフィスがあります。

 TikTokを用いた社会課題解決プロジェクト

TikTokでは2020年3月からCSR活動として「TikTok for Good」というプロジェクトをグローバルで展開しています。

これは

  • TikTok利用者が暮らす各国の社会的な問題や課題に対し、TikTokを用いてその解決に少しでも貢献するべく、NPOや政府機関、関係団体等と協力しつつ、各国に根ざした様々なプロジェクトを展開していく

というものです。

日本オフィスで行われているその活動の一つが「防災啓発」を目的とした取り組みです。

例えば、2020年には防災普及啓発動画を気象庁や消防局等と共同で製作し、特設ページでの配信を行いました。

第1弾「大雨・洪水」、第2弾「地震・熱中症(横浜市消防局と連携協定締結)」、第3弾「熱中症予防特集」まで配信(2020年3月、6月、7月に実施)

他にも投稿時のハッシュタグを活用し、「#TikTokでニュース」で気象情報生放送番組「ウェザーニュースLiVE」を生配信したり、2021年3月には東日本大震災から10年となる節目に合わせて、地方自治体や著名人、クリエイターなどと連携し、被災地の“いま”やエールを届ける「#あれから10年」プロジェクトを実施してきました。

TikTokコミュニティを通じて全国の被災地で活動を続ける全ての方々へのエールと、震災からの学びを届けることであらためて防災・減災への意識を高める機会を創出するプロジェクト。Twitter Japan株式会社と共通でタグを使用し、より多くの人へシェアを工夫した(2021年3月2日〜3月11日まで実施)

2021年9月には、台風が接近または上陸すると予想される場合、該当エリアのユーザーに台風や災害に関する公的情報を掲載した気象庁ウェブサイトへのアクセスを促す「台風アラート動画」の配信を始めました。

「台風アラート動画」2021年9月16日より配信中

防災に関する情報はいくら正確な情報を発信していても、必要な人に届いていなければ意味がありません。また、“防災の知識を深めるために日頃から行政のサイトにアクセスする習慣がある”という方は滅多にいないでしょう。

TikTokが防災啓発をそのプラットフォームで行うのには、「防災への意識が高くない人にも気軽に情報へ触れてもらえる」というメリットがあります。

  • 複雑な内容もシンプルに伝えられ、飽きずに観られる「ショートムービー」というコンテンツ
  • 実際にまだ被災を体験したことの少ない若い世代を中心にユーザー数が多い
  • ハッシュタグによるコミュニケーションや拡散力が高い

といった特長をフル活用し、行政機関や地方自治体と連携して正しい情報発信をすることで、TikTokは日本の防災対策に貢献しています。

「TikTok LIVE」で緊急記者会見の生配信が始まります!

 

2021年12月21日から新たに気象庁と連携し、TikTok公式アカウントによる“災害時の緊急記者会見の生配信”がスタートしました。

気象庁では、地震で震度5弱以上の強い揺れが観測された場合や台風や記録的な大雨により災害の発生が予測されるときなどに、国民へ「災害発生時における現状・留意点」や「取るべき行動」などを伝えて警戒や注意を呼びかける「緊急記者会見」を開いています。

会見が実施された場合に、TikTokの公式防災専用アカウント「TikTok防災ガイド」がライブストリーミング機能「TikTok LIVE」で同時配信を行います。テレビをつけなくてもスマホとTikTokアプリがあれば、緊急時の情報を逃さず確認することができます。

これまで気象庁の緊急記者会見はテレビやラジオなどで中継されていましたが、より多くの人へ防災行動を促せる情報発信の手段としてインターネットの動画配信プラットフォームが注目され、2020年3月には動画共有サービス「Youtube」でのライブ配信が始まっていました。(参考:気象庁公式YouTubeチャンネル

昨今ユーザー数が伸びているTikTokでも新たに配信をすることで、いままで届けられなかった層へも防災に関する情報を伝えられ、国内防災啓発活動のさらなる強化ができると期待されています。

まとめ

TikTokは月間アクティブユーザーは世界で10億人を超える人気のサービスとして成長をし続けています(※数値は2021年9月末時点、米国TikTokブログより)。

そんななかで、いま日本で行われている「防災啓発を目的とした行政機関とTikTokの連携」は世界初の取り組みだそう。

今後も防災分野で広がり続けるTikTokコミュニティとその動向に注目をしていきたいですね。

 


参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000568.000030435.html、https://www.youtube.com/channel/UCajQ4ZQJrgwSxkF6xaCfrRw