近年、非常食(防災食)の進歩には目を見張るものがあります。「長期保存が効く」ということだけでなく、普段の食事と変わらない美味しさやバリエーションの豊かさにこだわった製品が続々登場しています。ところで、もしものためにどんな非常食を備蓄しておこうかと一度は悩んだことはあると思いますが、「食器」について考えたことはあるでしょうか?

今回紹介するのは、防災備蓄品として開発された「折り紙食器 beak(ビーク)」です。

防災備蓄として最適な「食器」とは?

水が使えなくても衛生的、処分しやすい、保管に場所をとらない……食器の備えは意外に難しい!

缶詰、スタンドパック、レトルトパウチ……非常食にはさまざまなバリエーションがありますよね。包装のまま食べられるものもありますが、レトルトパウチなどの場合は、お皿やスプーンなどの食器の用意が必要です。包装のまま食べられるものであっても、人によっては食べやすくするために小分けに切る必要があるなど、食器を使った方が良いこともあるでしょう。

災害時に食器を使う場合、いつもの食卓と同じ感覚で食器を使うのは難しかったりします。

例えば、ガラスや陶器の食器は、地震で割れて使えなくなるかもしれません。プラスチックの食器なら簡単に割れることはありませんが、被災後は断水などで水が貴重になることが想定されます。食事のたびに食器を洗うというのは、できるだけ避けたいところです。かといって、洗わないのは衛生的ではありません。

ラップやクッキングシートをお皿の上に敷いて節水することもできますが、避難生活が長期化した場合、ビニールゴミが増えてしまいます。使い捨ての紙食器なら燃やして処分ができますし、衛生的で便利です。しかしながら、紙コップなどは保管中につぶれやすかったり、かさばって場所を取るなど、保管に困りやすかったりします。

災害時に使いやすい食器は、

  • 丈夫で壊れにくい
  • 水を使わなくても衛生的に使える
  • ゴミとして残りにくい
  • 備蓄(保管)しやすい

といった条件を満たしているものが良いでしょう。

上記のような条件を備えているのが、災害備蓄品として奥村印刷株式会社(東京都北区)が開発した「折り紙食器 beak(ビーク)」です。

糊や接着剤を使わない組立式の折り紙食器「 beak(ビーク)」

あらゆる種類の非常食に対応する丈夫な紙製食器

「beak」は紙1枚を折り紙のように組み立てるだけで食器になるという、画期的な製品です。強度を上げるために折り込んで尖った紙の先が鳥のくちばし(beak)のように見えることから、その名が付けられています。

素材に使われているのは、大王製紙株式会社(住所:東京都千代田区)がプラスチック代替素材として開発した厚紙「エリプラ+(プラス)」。エリプラ+は、紙でありながらプラスチック同等の剛性と耐水性・耐油性があり、水分や油分を含む食品を直に乗せることができます。電子レンジでの加熱にも対応し、食品衛生法の基準にも適合しているので、すでに全国のスーパーやカフェチェーンで弁当箱の容器やマドラーなどいった導入実績があります。

ラインナップには、

  • どんぶり(容量670cc)
  • カップ(容量280cc)
  • お皿(容量470cc)

の3種類があり、飲料や汁物を含むあらゆる料理に適応する容積、強度を備えています。

beakの使用イメージ。汁物や温かい料理を盛り付けることができる(引用|奥村印刷株式会社 「第48回(2022年度)発明大賞」で「考案功労賞」を受賞」JAGAT

ポイント①手で折りたたむだけで作れる

「beak」は、組み立て前は1枚のシート状になっています。あらかじめ切れ込みと筋押し加工が施されており、ハサミや糊、留め具といった道具を使わずに、折るだけで強固な紙容器を作ることができます。

シートには折り方の手順が印刷されており、説明に従って折り紙のように折っていくだけで、小さなお子様からお年寄りの方でも簡単に食器を自作できます。

カップの組み立てサンプル

ポイント②「A4紙1枚=1人分の食器」で場所を取らない

一般的な紙食器は重ねてもかさばってしまうので、保管場所にはある程度の広さが必要です。

「beak」は、折りたたむ前のシートは厚さ0.42mmのA4サイズ用紙なので、平坦に重ねて置くだけで済みます。100人分なら高さはわずか4.5cm、1000人分でも高さは45cm程度。コンパクトに大量の食器を保管できるので、災害用備蓄にはもってこいです。

また、食器の搬送には壊れないよう緩衝材が必要不可欠ですが、「beak」は紙の束を持ち運ぶようなものなので、梱包時の緩衝材もいりません。必要な場所へ大量に輸送したり、いつ起こるか分からない災害対策としてかばんに忍ばせてられるなど、運ぶときにも場所を取らない搬送性にも優れています。

ポイント③環境にも配慮されている

「beak」の素材であるエリプラ+は、100%パルプ紙でできています。燃やしても有害物質が出ず、そのまま燃えるゴミとして捨てられます。やむを得ず投棄されても2年で生分解されるので環境への負荷が軽減されています。

公的評価も高い!

「beak」は、一般社団法人防災安全協会が災害時に役立つ防災製品として推奨する「防災製品等推奨品」の認定を受けています。衛生試験もクリアしており、食品用容器としての品質も優れています。

日本発明振興協会と日刊工業新聞社共催の「第48回(2022年度)発明大賞」にて、発明考案を通じて産業の発展や国民生活の向上に寄与した資本金10億円以下の中堅・中小企業や個人、グループに贈られる「考案功労賞」も受賞しています。

まとめ

災害時の食事といえば、食料品そのものに意識が向きがちで、「食器」については気をまわせていない方もいるでしょう。

A4用紙1枚分のサイズの紙製食器「beak」は、もしもの時に使える食器としておすすめです。

埼玉県川越市のふるさと納税品としても出品されています。ぜひチェックしてみてくださいね。

 



参考:https://www.okum.net/beak/、https://www.okum.net/infomation/20230308/