新型コロナウイルスの感染拡大、頻発する記録的な豪雨、そして今後高い確率で起こるとされている首都直下地震や南海トラフ地震など、私たちは多くの災害と日々隣り合わせの生活をしています。

今回紹介するのは、「安心を一番近くに」をコンセプトとして防災用品の企画・製造を行う老舗防災メーカー、ファシル株式会社(本社:静岡県、代表取締役:八木法明)の「災害用備蓄スタンド BISTA(以下、BISTA)」

いざというときに備えて保管されている災害備蓄をまったく新しい視点で見つめ直したアイテムです。

そもそも「災害備蓄」とは?

災害備蓄(防災備蓄という場合もあります)」とは、電気やガス、水道などのライフラインが止まってしまった際にも人々の安全を確保できるように備えた物資のこと。水や食糧、生活必需品、医薬・医療品、防災資機材など多岐に渡ります。

ほとんどの自治体では、災害発生時に避難所となる公立小中学校や自治体所有の施設などに専用の倉庫を設け、想定される避難人数に応じた災害備蓄を管理しています。多数の死傷者・避難者が発生する恐れのある災害時には行政機関による「公助」にも限界があり、自治体や民間企業などが「共助」の要として重要な役割を果たすからです。

特に「企業による防災の備え」は、2011年3月11日に発生した東日本大震災以降、一層重要視されるようになりました。

東日本大震災ではおよそ515万人の「帰宅困難者」が発生

東日本大震災は発生時刻が平日の日中だったこともあり、当時多くの鉄道が運行を停止し、道路の渋滞も発生しました。

鉄道等を使って通勤・通学している人々の帰宅手段は閉ざされ、午後2時46分時点で

  • 東京都……約352万人
  • 神奈川県……約67万人
  • 千葉県……52万人
  • 埼玉県……33万人
  • 茨城県南部……約10万人

あわせて、およそ515万人の「帰宅困難者(※3月11日中に帰宅できなかった人)」がいたといわれています。

そのため、東日本大震災後には『東京都帰宅困難者対策条例第17号(東京都)』や『事業所における「一斉帰宅の抑制」対策ガイドライン(大阪府)』など、企業に対してオフィスなどの施設で帰宅困難者の安全を確保することを努力義務と定めた条例が、各地で作られるようになりました。

条例のある地域では多くの企業が社内に防災部門を設置し、災害備蓄を倉庫やロッカーなどで管理しています。そして、いざというときには二次災害の発生を防ぐために来訪者や従業員の帰宅を抑制し、災害備蓄を提供してライフラインが復興するまでの生活を支えます。

 災害備蓄を日常に溶け込ませる「BISTA」

災害備蓄は「もしもの時の備え」なので、普段は邪魔にならないよう倉庫やロッカーなど見えないところに閉まっておき、必要なときに取り出すことが一般的。こうした災害備蓄のあり方と異なる発想を提供するのが「BISTA」です。

「BISTA」は蓋つきのカラーボックスのように、扉を開けて中にものを収納できる災害用備蓄スタンドです。外観は防災用品らしさゼロのインテリア風。日常生活の中に自然に溶け込みます。

ブラックカラーもあり、施設内の雰囲気に合わせて選べる(引用:PR TIMES

このデザインは災害備蓄を倉庫やロッカーにしまっておくのではなく、あえて日常的に人が行き交う空間に置き、人々に災害備蓄を認識してもらうことを意図しています。

開かれた場所に設置し、どこで災害が起きても頼れる存在に

以前の記事で、「自分の会社・勤め先の防災備蓄品の場所についてはどこにあるか知らない」と答えた方が60.3%と、実に6割以上が自分の会社・勤め先でのいざというときの防災備蓄品の保管場所を知らないという実態があることを紹介しました。
これは、普段見えない倉庫やロッカーの中で災害備蓄が管理されていることや、企業の防災事情は「防災部門の担当者」に任せられており、社員全員が認識できていないために起こることでしょう。

【啓発|2022版】はたらく人の防災意識とは

企業内に防災に特化した部門や担当者がいることは、慌ただしい災害時にスムーズな対応をするためにも重要です。

しかし、近年はコロナ禍をきっかけとしたテレワークの導入が増え、オフィス面積の縮小・分散やシェアオフィスの活用など、働く場所が多種多様になってきました。つまり、常に企業のオフィス内に防災担当者がいるとは限らないケースが増えてきたのです。

いざというときに防災担当者がいなかったり、災害備蓄の場所がわからなければ、備えの意味がありません。こうした問題を解決するのが、人目につくところに違和感なく置いておける「BISTA」です。

「BISTA」はロビーやエントランス、応接室など、どこに置いても馴染むので、普段から人々に認識してもらいやすくなっています。万が一防災部門の担当者がいなくても、その場にいる人が災害備蓄の場所を知っているので、すぐに取り扱うことができます。

「BISTA」の中身は?

「BISTA」の中身は1〜3段に分かれており、最大50人分の厳選した防災用品(大手自動車メーカー6社の純正品として採用実績あり)が収納されています。

災害備蓄として認識度の高い「水や食糧」ではなく、

  • 安定した通信手段を確保できる充電器
  • 感染症対策ができる商品

など自社以外の誰かのためにも役立つ防災用品なので、地域貢献にもつながります。

まとめ

シンプルでスマートなデザインと機能性を備えた災害備蓄スタンド「BISTA」は、「2021年度グッドデザイン賞」や「2021年度防災グッズ大賞」を受賞しています。2020年9月1日に発売開始後、納品実績は累計300台を超えており、日本全国様々な場所で「BISTA」の導入が進んでいるそうです。

東京都港区港南のコワーキングスペース「リブポート品川」では「BISTA」の常設展示が行われています。興味のある方はぜひ見に行ってみてはいかがでしょうか(※見学は要事前連絡)。

 

 



参考:https://facil.jp/bista/、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000062830.html、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000062830.html、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000062830.html