VR元年と呼ばれた2016年。ソニーからは「PlayStation VR」、オキュラスからは「Oculus Rift」が発売されるなど、ゲーム業界で盛り上がりを見せてきた。

その勢いはとどまることを知らず、凸版印刷が提供するVRscope for ハザードや九州大学大学院の浅井氏のグループが開発した津波の疑似体験VRなど、防災教育の分野でもVRは活躍。

そこで今回は、火災現場で生じるような”煙に巻かれる体験”ができる「防災VR」について紹介する。

煙に巻かれる体験ができる「防災VR/火災編」

株式会社アイデアクラウドHPより引用

VR(バーチャルリアリティ)/MR(複合現実)事業を手がける株式会社アイデアクラウドが提供する「防災VR」。そんな防災VRの第一弾「防災VR/火災編」が2017年1月11日(水)にリリースされた。

視界の悪い火災現場に直面すると、多くの人が恐怖でパニックに陥ってしまい、脱出に時間がかかってしまうだろう。

この「防災VR/火災編」では、ルームスケールに対応したHTC Viveを通して、実際の火災現場を再現しており、煙に巻かれた中、部屋からの脱出しなければならない状態を体感できる。体験時間も、おおよそ30秒~1分ほどという短時間なので、気軽に体験することが可能だ。

加えて現在、株式会社アイデアクラウドは「防災VR/地震編」、「防災VR/津波編」といったVRコンテンツも開発中。今後は、さらに多くの災害を、VRを通して疑似体験できるようになる。

「防災VR/火災編」の体験動画

この「防災VR/火災編」では、以下のような流れで体験できる。

1.煙が充満した部屋の中央からスタート
2.四方のいずれかの壁にランダムに脱出口が生成される
3.煙が充満しているため、しゃがみこまないと脱出口を探せないため、しゃがみ込む
4.煙は時間の経過と共に部屋全体を覆っていく
5.脱出口にタッチするとクリア
(株式会社アイデアクラウドHPより引用)

火災現場においては、煙によって目の前すら全く見えない状況になる。そのような環境下では、落ち着いて対処できるかどうかが生死のカギを握ってくるだろう。

落ち着いて対処できるかどうかは、日常的な防災意識やこういった疑似体験が大事である。このような体験ができる機会があれば、ぜひとも体験することをお勧めする。

火災現場において大事なこと


実際の火災現場では、視界の悪さだけでなく、火傷や煙による一酸化炭素中毒など、様々な危険が潜んでいる。そこで火災が発生した場合の、初期対応の3原則を以下に記しておくので、頭の片隅に留めておいてほしい。

①通報

大声で周囲に知らせたり、119番に通報する。声が出ない場合は、非常ベルを鳴らしたり、物をたたいて異変を知らせる。

②初期消火

水や消火器で火を消す。それらがない場合は、クッションで火をたたくなどをして消火活動を行う。ただし、天井に火が燃え移った場合は、即座に避難すること。

③避難

煙の中を逃げる時は低い姿勢で、なるべく煙を吸い込まないようにして逃げる。

様々な災害を、VRにて再現する「防災VR」。

災害の疑似体験が、日常生活においてさらに防災意識を高めていってくれるだろう。