2021年11月末に和歌山県すさみ町の「道の駅すさみ」で、すさみスマートシティ推進コンソーシアムによる防災イベントが開催されました。イベント内では防災ソリューションの展示やデモンストレーションのほか、道の駅から同町里野の避難所へ食料をドローンで運ぶ実証実験が行われました。この実験の核を担ったBELLグループの備蓄管理システム「BxLink(ビーリンク)」についてご紹介します。

防災備蓄管理のDX化でいのちを繋ぐ

自治体・民間企業向けのクラウド型システム「BxLink」

「BxLink」は、防災備蓄品データを一元的に可視化し、災害の想定避難者数や属性に応じた最適な備蓄計画と在庫管理を支援する、防災備蓄管理システムです。

地図データやハザード・天候データとも連携し、防災シミュレーションや防災情報ポータルとして活用することもできます。また行政や民間企業と備蓄データを連携し、官民の垣根を越えた、広域備蓄情報の共有も可能です。

和歌山県すさみ町の防災イベントでは、「BxLink」が他の民間企業が提供するスマートフォンのコミュニケーションアプリやモバイルオーダーシステムなどとスムーズに連携する様子が披露されました。

具体的には、まず、すさみ町の備蓄品のデータを登録した「BxLink」とコミュニケーションアプリなどを併用し、避難所から道の駅へ必要な物資を要求。それに応じて、道の駅にいる防災担当職員が「BxLink」で利用可能な食材や食事を検索、出庫。さらにその情報を他社のモバイルオーダーシステムに反映させ、避難所から要求された物資を道の駅からドローンで配送する、というものです。

災害発生時に孤立集落へ支援物資などを輸送することを想定しており、現場ではドローンが「レタスおにぎり」30個を入れた約5kgの発泡スチロールを積載したまま海上4kmを航行、13分ほどで避難所へ着陸を成し遂げました。

ICT(情報通信技術)×ドローンという防災テクノロジーの可能性が実証されたといえるでしょう。

DX化を推進する企業が開発

このシステムを開発しているのは、中堅・中小企業の成長支援や防災プラットフォーム事業をはじめとした社会課題解決にテクノロジーで取り組む企業グループ、BELLグループです。

「BxLink」は『備蓄食に関する20%問題』を解決し、備蓄の最適化を実現するために開発されました。

『備蓄食に関する20%問題』とは?

「食事制限のある人の存在」が考慮されていない、災害備蓄食の現実

『備蓄食に関する20%問題』とは、BELLグループが定義した、「南海トラフの大地震発生予測について被害想定の大きい中部圏で生じるであろう被災者の“食”問題」のことです。

阪神・淡路大震災や東日本大震災の経験を踏まえ、政府は自治体に対し、想定避難者の3日分の非常食の確保を法令で定めるようになりました。

災害時に人々は避難所でその非常食(以下、備蓄食)を食べる生活が予想されますが、誰もが備蓄食を食べられるとは限りません。

疾病により食事制限のある方、食物アレルギーを持つ方、高齢者や幼少児、特定主教者など、“食事制限のある方(要配慮者)”が世の中にはたくさんいます。BELLグループが中部圏の人口動態を踏まえたデータを試算した結果、人口の20%がその要配慮者に該当していたそうです。

それに対し自治体等における備蓄食は、先ほど説明した政府の法令を守ると、ほとんどの場合、自治体人口や社員数×必要数という“人の数”のみにあわせて決定されています。一般的な備蓄食を食べられない要配慮者の存在は考慮されていないのが現状です。

被災者の命を守るはずの備蓄食を利用できず、置き去りにされる人たちが20%いる。BELLグループではそのことを解決すべき課題とみなし、人口動態を考慮した備蓄の実現を目指しています。

どのように「BxLink」が貢献できる?

「BxLink」は主に下記の4つの機能を持っています。

「在庫管理」や「賞味期限管理」など一般的な管理機能に加えて「人口動態シュミレータ」があることがポイントです。

この機能によって、自治体等が単なる人の数ではなく、人の“属性”ごとにあわせた備蓄計画を立てやすくなります。

まとめ

BELLグループは2021年11月末には岐阜県大垣市と「防災備蓄管理システムに関する実証実験連携協定」を締結。北海道から沖縄まで全国の多様な地域特性や災害特性に合わせた「BxLink」導入の実証実験を重ね、要配慮者等への最適な防災備蓄の提供、備蓄管理業務の効率化、官民連携や自助促進などの連携基盤の確など、今後も防災分野におけるDX化と産学金民官連携など多くの可能性を広げていくそうです。

 

 


参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000015432.html,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000015432.html,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000015432.html,https://www.bell-group.jp/service/prevention/bosai.html