小学生に人気のシューズブランド「瞬足」をご存知の方は多いのではないでしょうか。この靴を手がけているのは、総合プラスチック加工メーカー・アキレス株式会社(本社:東京都新宿区、以下アキレス)。電子機器の部品から建築資材まで多岐にわたる製品づくりをしており、近年は防災分野にも力を注いでいます。今回は皆さんにとって身近な製品を作っている企業、アキレスの技術が活きる防災についてご紹介します。
自社技術を活かして防災に貢献!アキレス株式会社
ゴムやプラスチックの加工に強い、歴史のあるメーカー
アキレスは1907年に設立された織物の製造販売会社を母体とし、戦時中に工業会社としてゴム製品の製造に転換、戦後から布靴・総ゴム靴といった履き物や合成樹脂製品などの製造を手がけ、現代では総合プラスチックメーカーとして、さまざまな業界へ技術を提供している企業です。
2000年台半ばには、年間最高で650万足を売り上げ、“小学生の2人に1人が履いている”と言われるほど大ヒットした子供向けシューズ「瞬足」で、一躍世間の注目を集めました。
アキレスの防災製品とは?
そんなアキレスでは防災製品の開発に、長年にわたって力を入れています。
例えば、2011年の東日本大震災や2018年の西日本豪雨などで活躍した「レスキューボート」。
これはゴム引布(※繊維をゴムの間に挟み込んだ複合シート)の製造ノウハウを活かしてアキレスが開発しているものなんです。
高い技術力で半世紀以上ゴムボート業界を牽引してきているため、現在、大規模災害が発生した際に出動しているレスキューボートは概ね同社の製品なんだとか。
また、昨今の新型コロナウイルス感染症対策で、コンビニやスーパーのレジなどに“透明の飛沫防止用シート”を見かけることがあると思います。
このシートを作っているのも、なんとアキレス。このシートは、飛沫防止用シートに関する消防法に適合しており、公益財団法人・日本防炎協会に防炎性能があると認定されています。
さらに、PCR検査時の医療従事者の飛沫感染防止用に、テント内部の気圧をコントロールできる医療用エアーテントも開発。こちらも全国の病院で使用されています。
自然災害からウイルス災害まで、蓄積してきた自社技術で防災対策に取り組み続けているアキレス。日常現場から医療現場まで幅広い活躍をしていることに驚いた方もいるのではないでしょうか。
なぜ防災に取り組むのか
2021年10月、アキレスは社内のプラスチック部門で「防災事業部」を新たに誕生させました。この事業部は
「年々増加する自然災害、疫害に対して、長年培ってきた技術・経験を生かし、予防対策から災害時の救助・救命、避難所支援、復旧・復興活動にいたるまで、必要な製品、サービスを提供し、人々の暮らしと命を守り安全・安心な社会の実現を目指すこと」
を目的に、さまざまな防災製品の開発を行っています(引用:アキレス株式会社「防災事業部」)。
2021年10月22日〜23日には、例年東京で開催されている「危機管理産業展(RISCON TOKYO)」にも出展をしたそうです。
このように防災事業へ力を注いでいるのには、企業の技術力のほかに、社長・伊藤氏の思いがあります。
伊藤氏はかつて水害による被災を身近に経験したことがあり、その苦労から、会社の培ってきた技術や素材で、災害の予防や現場への貢献ができないかと考えられました。
製品開発の際は被災地を訪問し、「本当に必要とされているものは何なのか」を自分たちの目で見て確認し、現場の声を反映することを心がけているそうです。
まとめ
2021年10月のForbes JAPANによると、「災害の予防から復興、救助される人だけでなく、救助する人も使用しやすい製品の開発と、防災製品のリースやレンタルなども開始する予定がある」とのこと。
現在、防災事業の拡大を社内課題としているアキレス。企業の防災分野への取り組みや研究開発に関心のある方は、今後の情報もチェックしておくと良いかもしれません。
参考:https://www.achilles.jp/,https://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/2020/0625/,https://forbesjapan.com/articles/detail/43625