地震や水害などの災害によって、ライフラインが寸断されてしまった場合、困るのが「水」だ。飲料水としてはちろんのこと、トイレ、洗濯などあらゆる場面で欠かせない。そのため、ペットボトルの水を備蓄しておくことは非常に大切なことだ。

避難所では水や食料を中心とした支援物資が避難所に届けられるが、それによるペットボトルや容器がごみとして発生する。災害時は道路の寸断やごみ処理場の停止などにより、ごみの回収が数日から数週間停止することもあるだろう。避難所のごみ置き場のスペースは限られており、衛生状態の悪化も懸念される。

早急なライフライン復旧を期待したいところだが、物理的にごみを減らすことができれば解決できる可能性はあるのではないか。今回紹介するのはペットボトル自体をなくしてしまった水「Ooho!(オウホウ)」だ。容器なしで、水をそのまま持ち運ぶことができる球体状の水である。

Ooho!(オウホウ)とは

画像:Jebigaより引用

「Ooho!」は水を透明なジェル状の膜で覆っている。その膜は植物や海藻から抽出した天然素材で、最終的には土に還る素材でもある。その膜で水を覆うことで、水をそのまま持ち運ぶという不思議な体験を味わえるのだ。

一口サイズの「Ooho!」に入っている水は、膜に穴を開けて飲むことも、丸ごと飲み込むこともできる。水を飲むというより、食べるといった感覚かもしれない。食べてしまえばごみは出ない。食べなくてもごみのかさはペットボトルよりも小さく、土に還る素材のため、最終的にごみには出ないのである。

「Ooho!」はペットボトルよりも低コストで製造が可能。さらに、ペットボトル製造時よりも二酸化炭素の排出量は5倍少なく、使われるエネルギーも9倍少ない。省エネルギーかつ低コストで製造できるという。

そんな「Ooho!」は、ロンドンの名門美術大学「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート」の卒業生3人によって2014年に発明された。その後、スタートアップ企業「Skipping Rocks Lab」を設立し、開発を続けている。今年、製品を市場に投入するため、英国最大のクラウドファンディングサイト「croudcube」をでクラウドファンディングを実施。約85万ポンド(約1億2,700万円)の資金調達に成功した。

ペットボトルによる環境問題


ペットボトルの消費は大きな環境問題だと言われている。

世界的にペットボトルの消費量が急増している。世界全体のペットボトル消費量は10年前は3,000億本だったが、昨年は過去最高の4,800億本。1分で100万本、一秒に換算すると2万本が消費されたことになる。また縦に重ねると地球から月までの距離の半分以上に匹敵する。消費量は2021年には20%増え5,833億本になるという。現在のペットボトル過剰消費は気候変動と並んで深刻な環境問題を引き起こすかもしれないと危惧されている。英紙ガーディアンが報じた。

【国際】世界のペットボトル容器消費量が急増。1分間100万本。深刻化する環境汚染より引用

普段の生活で大量消費されているペットボトル飲料は、避難所でも多く消費され、そのペットボトルは大量のごみとして発生する。そのため飲料メーカーは、ペットボトルの軽量化や小さく畳めるようにするなどで、ごみのかさを減らせるようにしたり、植物由来原料を使用したりしてこの問題に取り組んでいる。

Ooho!(オウホウ)が作る未来

画像:Jebigaより引用

ペットボトルの水の代わりに「Ooho!」を備蓄したり、避難所への救援物資として提供すれば、避難所のごみ問題は改善するかもしれない。また、味を付けることができるということは、食事の代わりとしての「Ooho!」も将来期待できる。まさに、災害時にも活躍が期待できるアイテムだといえるのではないだろうか。

ペットボトルの改良ではなく、ペットボトル自体をなくすというのは斬新なアイデアだ。このようなアイテムが普及することで、日常生活だけでなく、避難所生活や防災より良くしてくれることを期待したい。

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