日本は寄付文化がなかなか根付かないと言われる。

日本ファンドレイシング協会が発行する「寄付白書2017」によると、各国の個人寄付総額は、アメリカ30兆6,664億円、イギリス1兆5,035億円、日本7,756億円、韓国6,735億円となっている。

復興支援など、寄付を必要とする場面は多く存在する。今回は、ヤフー株式会社が運営するオンライン募金サイト「Yahoo!ネット募金」が実現している内容と今後の展望について取材した。

「Yahoo!ネット募金」とは

「Yahoo!ネット募金」は、2004年に「Yahoo!ボランティア・インターネット募金」の名称でサービスを開始。

クレジットカードを使った寄付だけでなく、Tポイントを活用して1ポイントから手軽に寄付できることなどが特徴。災害・復興支援をはじめ、子どもの支援、動物・ペットの保護、国際協力、医療・福祉などのさまざまな分野のプロジェクトがある。

現在、累計で約58億円の寄付が集まっており、400もの団体が「Yahoo!ネット募金」をプラットフォームとして利用し(※)、寄付を募っている。(※2020年2月末時点)

昨年は、年間で約12億円の寄付が集まり、ユーザーからの寄付の回数は300万回に達する。災害が発生すると寄付が普段より多く集まる傾向にあるとのこと。

また、現在はTポイントで募金をするユーザーが多く、Tポイントを導入した2007年から寄付の総額が伸びている。

「今すぐ支援したい」を叶える、Yahoo!ネット募金の強み


「Yahoo!ネット募金」の強みは、ヤフー内のサービスであり、クレジットカード決済やTポイントを使用して寄付ができるといった手軽さだ。

「Yahoo!ネット募金」には、さまざまなプロジェクトがあり、社会課題に対してアプローチをしている団体が数多く存在する。ユーザーは、幅広い社会課題に向き合い、募金というアクションを通じて世の中に貢献できる。

近年、災害が多発している。地震や台風といった災害に対して、迅速にプロジェクトを立ち上げ、「今すぐ支援したい」という方々に寄付の場を作れることも強みの一つだ。

国内は勿論、海外にも支援ができる。直近では、オーストラリアで起きた大規模な火災に対して、約5500万円の支援が集まった(※)。(※現在は受付終了)

クラウドファンディングとの違い

クラウドファンディングとの違いは、400団体が登録し、期間限定、随時募金受付のプロジェクトが進行していることである。

団体がプロジェクトを立ち上げる際には、書類での審査、団体の活動内容などの審査を行う。審査が通れば団体として登録できる。そして、登録後にプロジェクトの内容に関する審査を通過し、プロジェクトを開設する。

寄付をした人が「こんな使い方をするとは思わなかった」と、NPOや一般社団法人の寄付金の使い方が非難されることがないように、ユーザーが安心して寄付できる団体・プロジェクトを揃える目的で、「Yahoo!ネット募金」では厳密に審査を行っている。
災害が起こると、寄付をするユーザーの平均年齢が若くなる

寄付をするユーザーの男女比は1:1、年齢層は30代後半から40代までが一番多く、ヤフーを利用するユーザーより5歳ほど若い。

災害が発生すると、平均年齢が10歳ほど若くなり、男女比が女性6割と増える傾向にある。

SNS(Twitter)を中心に若者の支援も増えている。自分たちの身近な課題になると、すぐに支援する傾向にあるため、大きな社会課題よりも、災害などの身近な課題の方が支援しやすいのではないかと分析しているとのこと。

寄付のカジュアル化

Yahoo!ネット募金は「寄付のカジュアル化」を目指しており、寄付のハードルを下げていきたい。

募金の金額を伸ばすのが目標ではあるが、ヤフーの中に止まらず、日本の寄付文化の醸成をしていきたい。寄付を通じて世の中に関われるようにしていきたいとヤフー株式会社SR推進統括本部 Yahoo!ネット募金・ボランティア サービスマネージャー鈴木 哲也氏は語る。

今後は、一般企業を巻き込む方向性だ。CSR活動、社会貢献活動をしたい企業と組み、寄付文化を日本中に広めていきたいとのこと。

「日本全体の寄付総額を10倍に上げることができれば、社会が変わると思うので、寄付をより身近なものにしていきたい」(鈴木氏)