実際に災害に遭ったときに備えて、避難訓練などをおこなって対策しておくことは重要だ。

しかし、訓練でリアルな現場を体感することは難しい。災害が起こったときに、本当に訓練通りに行動できるのだろうか。

株式会社 理経から、火災からの避難を体験できる「避難体験VR」のモバイル版、「RIVR-DM」がリリースされた。別の機材を用意することなく、これまでの避難体験に加えて消火体験もできるようになった。

「RIVR-DM」によってこれからの避難体験はどう変わっていくだろうか。

「RIVR-DM」でできること


まず1つ目は、火災が起こったときを想定した「避難体験」だ。

避難誘導灯を頼りに自分で避難経路を判断し、非常出口まで辿り着くという一連の避難の流れを体験する。煙で避難誘導灯が見えづらいなか進む、火災時にはエレベーターは使わないことを判断して避難経路を選ぶなど、実際の火災現場をリアルに再現している。

2つ目は、訓練用消火器を使った「消火体験」だ。

訓練用消火器を使って、VR映像上でホースの向きを変えながら消火剤を放射して消火を行う。実際に訓練用消火器を持って一連の動作を行うので、かなりリアルな体験ができるようだ。

なぜ「RIVR-DM」が良いのか?3つのポイント


まず1つ目は、必要な機材が少ないということ。必要なのは、スマートフォン・VRヘッドセットのみ。加えて電源や通信環境が必要なく、ワイヤレス設計のため、どこでも実施することができる。

2つ目は、別の機材を用意することなく「避難体験」と「消火体験」の2つのコンテンツが利用可能であるということ。これにより避難訓練を運営する学校や企業側のコストを軽減することができる。

そして3つ目は、建物の内装を自社向けに変更できるなどのカスタマイズができるということ。「実際に自分の学校や会社で火災が起きたら…」ということを想定した避難体験ができる。さまざまな状況に対応した体験ができるというのは、VRならではである。

避難訓練を実施する企業や学校にとってのメリット


この「RIVR-DM」を使えば、一度に多くの人数が体験できることで時間が節約できる。また大きなスペースも必要なく、準備や片付けに手間がかからない。

このように運営側の生産性の向上にも大きく貢献するため、現在多くの自治体・大学・企業などによって購入およびレンタルがされている。

まとめ

現在、防災訓練の参加率が低迷しているという悩みを抱える担当者は少なくない。それだけ「もし自分の身に起こったら」と個人が考える機会は少ないのだ。

このVRを活用した「避難体験」や「消火体験」は通常の避難訓練よりもリアルに実際の現場を体感できる。これによって、防災をより身近に考える人が増えるのではないだろうか。