地震大国と呼ばれている日本。近年では、集中豪雨や土砂崩れといった自然災害も増えてきている。

このような災害による被害を最小限に抑えるためには、各個人の防災意識はもちろんのこと、地域全体での防災意識を高めていく必要である。

そこで今回紹介したい新たな防災・減災への取り組みが「Pop-up Commmons(ポップアップ・コモンズ)」。普段は地域住民のコミュニティの場として活用され、災害時には被災地に移動し支援を行う、移動型支援拠点を使った防災都市構想だ。

防災への新たな取り組み「Pop-up Commons」

Pop-up Commons  概要資料より引用


Mistletoe株式会社の代表取締役であり、孫正義氏の弟でもある孫泰蔵氏が発表した、ユニークな都市構想「Pop-up Commons」。移動可能な支援拠点を活用し、地域コミュニティの形成などを行うことによって、災害に強いまちづくりを目指す防災・減災の新しい取り組みだ。

移動支援拠点として使用される予定なのは、コンテナ。都市部でもポップアップストアなどで活用されているコンテナは、どこにでも移動させられるのが最大の強みである。

昔ほど近所付き合いがなくなり、被災時の避難所の共有や連絡手段が希薄になりつつある現代。その問題を打破すべく、「Pop-up Commons」は防災・減災を起点として地域コミュニティを作りだそうとしているのだ。

平時と非常時の活用方法

Pop-up Commons  概要資料より引用


「Pop-up Commmons」は平時と非常時のどちらでも活躍する。

平時には、福岡市内で行われるイベントでの休憩室や授乳室として活躍する。また、ワークショップなどを開催し、コミュニティの形成にも寄与する。そして災害時には、トレーラーハウスごと被災地域へ出動させ、簡易的な避難所や診療所へと姿を変える。

「気づけば・・・防災に」をキャッチフレーズとして平時はもちろんのこと、有事の際にも活躍できるような街づくり。それが「Pop-up Commmons」が実現しようとしていることなのだ。

「Pop-up Commons」が福岡市で実施する理由


「Pop-up Commmons」が福岡市という地方都市を拠点として活動しているのには2つの理由がある。

一つは、福岡市がアジアの玄関口であるためだ。福岡市は韓国・ソウルまで約500km、上海までは約1,000kmとアジア各国と近い。今後、日本だけでなく世界へ進出していくうえでは、福岡市はまさにうってつけの場所なのである。

二つめは、福岡市が実証実践都市であるためだ。福岡市には、民間企業を支援するために創業特区や実験都市などが存在する。故に、スピード感をもって様々な事業を創出することができる。

「Pop-up Commons」の取り組み

「Pop-up Commmons」は現在、福岡市内で実証実験を行っている。

行われている場所は旧大名小学校。熊本地震の際に支援物資発送の拠点として、復興支援活動が行われた場所である。
本格的に展開していくうえで、実際に課題の検証や改善を行っていく予定だ。

地域コミュニティの形成と共に防災拠点も担っていこうとする「Pop-up Commmons」。

今年、さらなる産官学民連携を図るべく、一般社団法人の設立を予定しているとのこと。今後の「Pop-up Commons」の取り組みも見逃せない。