ドローン(小型無人航空機)という言葉を耳にするようになったのがここ2、3年で、気づけば簡単なものならおもちゃ屋でも手に入るようになったのがここ最近である。前後、左右、上下の三次元で動かすことができ、カメラをつけてリモートコントロールができる。そのため、人が行くことのできない危険なエリア、物理的に難しいエリアまで飛ばすことが可能である。

その利便性を防災に活かそうと、自治体が協定を結ぶ動きが進んでいる。

1.徳島県:民有林の林野災害時の情報収集

森林率(都道府県の国土面積に占める森林面積の割合)が76%と、全国で10番目に森林の占める割合が多い徳島県。台風や山火事など、自然災害が森林部に甚大な被害をもたらした際は大規模となることがある。

そこで被災した際には早く対策を取ることが肝要である。徳島県では、四国森林管理局徳島署保有のドローンによる、三好市内民有林の空撮での被災状況の確認や被災範囲、原因の推定などの支援を行うとした協定を三好市と結んだ。その他、被災地における災害対策の提案や通信ライン受災時の衛星携帯電話活用などについても定めている。

2.佐賀県:災害応急対策活動

017年3月には、ダムで災害が発生したと想定して訓練を行っている。この訓練は土砂崩れなどに住宅が被災し、周辺の生活道路などが寸断されたという想定で行われた。その内容は県が締結した災害時応援協定に基づき、ドローンや提供医薬品を使ったものであった。

検証内容としては、

  • ドローンによる被災家屋の条項把握とライブ配信
  • ドローンによる被災家屋付近への支援物資(医薬品など)搬送
  • ドローンによる対岸へのリードロープ搬送

である。

状況確認だけでなく、被災者への支援物資提供、避難誘導なども無人で行うことができたら、支援者を危険にさらすことなく支援活動を行うことができる。

3.茨城県:損保ジャパン日本興亜と相互協力

茨城県は損害保険ジャパン日本興亜株式会社と、「大規模災害時に備えた防災力向上の相互協力に関する協定」を結んだ。

この協定の具体的な内容としては、

  • 災害時におけるドローンによる情報収集に関すること
  • 防災セミナー、防災訓練、その他地域防災イベントに関すること
  • 県民や企業への防災意識の啓発及び防災知識の普及に関すること
  • 地震保険の加入促進に資する情報提供に関すること
  • その他防災・減災及び災害対応における相互協力に関すること

である。

損保ジャパン日本興亜が持つノウハウの提供が目的のひとつにある。というもの、2017年2月に、新宿区とSOMPOリスケアマネジメント株式会社、工学院大学、株式会社理経と合同で、災害時の情報収集及び滞留者誘導を目的にドローン活用の実効性と課題を確認する実証実験を行っているからだ。

実験内容としては、新宿中央公園においてドローンを飛行させ、工学院大学までの距離約550mを無線通信で結び、ドローンが撮影した動画などを双方向で情報伝達するというものだった。

検証内容としては、以下4点だ。

  • 安定飛行検証
  • 情報収集のための画像検証
  • 画像送受信検証
  • 滞留者への情報伝達能力検証

2017年度も引き続き継続実験を行っていくとのことである。

以上、3つの県の例を取り上げた。

自治体だけではできない、企業だけでもできない…自治体と企業の協力体制が整い、災害時に現実的な対策を、包括的に行えることを願う。