近年、欧米式の家が増えて木造の家屋が減ったように感じるが、「平成25年住宅・土地統計調査結果」によると、日本の家屋数約5200万の内、約3000万は木造である。今回の記事では、日本の家屋のうち過半数を超える木造家屋が地震発生時にどうなるのか調べる技術「建物倒壊シュミレーター」を紹介する。

そもそも「建物倒壊シュミレーター」とは?

画像:建物倒壊シュミレーターをスクリーンショット

「建物倒壊シュミレーター」は愛知県防災学習システムで、木造建築のみを対象にした技術である。このシュミレーターで表示される震度や地震波形などは「愛知県 東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査(平成23-25年度)」における過去地震最大モデルの予測値だ。

シュミレーションの方法にはいくつかのパターンがある。『今すぐシュミレーション』を選択すると、建物を揺する震度の値を選択するだけで木造2階建ての建物を対象としたシュミレーションが可能だ。さらにおおまかな耐震性も知ることができる。

『地図からシュミレーション』を選んだ場合は地図から自宅の位置を選び、その地点での震度を取得してシュミレーションに進む。この場合も木造2階建ての建物に対応しており、立地条件を考慮した耐震性をチェックすることが可能だ。

また『詳しくシュミレーション』を選んだ場合、木造1-3階建ての建物を対象としたさまざまなシュミレーションを行うことができる。地図から自宅の地点を選択して地面の揺れをシュミレーションする「地盤応答シュミレーター」や、建物を図面で入力してリアルタイム解析でシュミレートする「CAD版倒壊シュミレーター」、さらには家具の大きさや設置条件を指定して転倒をシュミレートする「家具転倒シュミレーター」といった、より詳しいシュミレーションが可能になる。

 だれでもできる!「建物倒壊シュミレーター」の使い方

今回は、『今すぐシュミレーション』を使ってみようと思う。まず、「建物倒壊シュミレーター」のトップページで『今すぐシュミレーション』を選択すると震度を選ぶページになり、用意された12の質問に順に答えていく。

画像:建物倒壊シュミレーターをスクリーンショット

今回は震度5強を選択するが、防災マップで「愛知県 東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査(平成23-25年度)」における過去地震最大モデルの予測値を調べて、自宅の震度を選ぶといいだろう。

画像:建物倒壊シュミレーターをスクリーンショット

(Q1) 次に自宅の建築年数と外壁を入力する。

画像:建物倒壊シュミレーターをスクリーンショット

(Q2) つぎに外壁の劣化状況の有無、程度を選択。

画像:建物倒壊シュミレーターをスクリーンショット

(Q3-Q5) そして1階の形、2階の形をそれぞれ選択し、辺の長さも入力する。また、1階と2階にずれがある場合は最後にずれの長さを入力する。

画像:建物倒壊シュミレーターをスクリーンショット

(Q6-Q7) つぎに屋根の種類を和瓦、瓦、その他から選択し、内壁の種類を柱が見える大壁か見えない真壁か選ぶ。

画像:建物倒壊シュミレーターをスクリーンショット

(Q8-Q10) そして1階の様子と2階の様子をそれぞれ4つの選択肢から近いものを選び、2階の下の1階部分に壁が多く入っているかいないかを選択する。

画像:建物倒壊シュミレーターをスクリーンショット

(Q11-12) 基礎を玉石、無筋コンクリート、鉄筋コンクリートから選択し、ひび割れの有無も選ぶ。それから2階に重いものがあるかどうかを選び、ある場合は移動式書架、物置、小屋裏収納、太陽熱温水器から選択する。

これで全部の質問に答えたことになる。

シュミレーションの結果

画像:建物倒壊シュミレーターをスクリーンショット

今回のシュミレーションには、それぞれの質問には以下のように答えた。

震度5強、建築年は1980年、外壁はモルタルで劣化はなし。1階と2階の形は長方形で辺は縦10メートル、横15メートルで、1階と2階のずれはなし。屋根の種類は瓦で、内壁は柱が見えない大壁。1階の様子は部屋を大きくとっていて壁も少なく、2階の下になっている部分に壁が少ない。2階の様子は部屋数が多めで部屋の独立性が高い。基礎は鉄筋コンクリートで、ひび割れもなく、2階や屋根に重いものはない。

結果、「倒壊の可能性は低く、比較的安全です。念のため、耐震診断を受けてください。」となった。また最後にはシュミレーションした、地震発生時の建物の揺れの状況を動画で見ることが可能である。

 

地震はいつ起こるかわからないからこそ、備えが重要である。これからいつかは必ず起こるであろう大地震のときに、自分や家族の住む家がどうなるかを知っておくためにも「建物倒壊シュミレーター」を活用してみてはどうだろうか。