NTTドコモモバイル社会研究所の2020年調査によると、スマートフォン所有者5518人のうち、防災アプリをインストールしている割合は46.5%。アプリ別のインストール率は「1位 Yahoo!防災速報」、「2位 NHKニュース防災」に次いで「3位 防災情報 全国避難所ガイド」という結果が得られたそうです。

今回はそんな人気TOP3防災アプリのうち、3位の「防災情報 全国避難所ガイド」が行ったアップデートについてお伝えします。

あなたのスマホに入っている?「防災情報 全国避難所ガイド」

「防災情報 全国避難所ガイド」はファーストメディア株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:山崎佳一)が提供している無料のスマートフォンアプリです。2011年の東日本大震災で社員が帰宅困難になったことをきっかけに開発が始まり、同年7月から配信されています。

このアプリの特長は利用者によりそった「行動支援」です。

全国の自治体が定めた災害時の避難所などが17万件以上収録(2021年12月現在)されており、アプリを起動すると、いまいる場所から最も近い避難所を自動検索してくれます。

地図上での表示だけでなく“ARカメラ”や“コンパス機能”で道順をわかりやすくナビゲートしてくれるため、地図を読むのが苦手な人や、知らない土地で被災した場合でも迷わず安心。データはキャッシュ保存されており、オフライン時でも避難ルートを確認可能です。

他にもハザードマップや家族の安否情報、災害に関する最新情報まで一挙把握ができ、これまで数々のメディアで “おすすめ防災アプリ” として紹介されてきました。

2021年12月、大幅にバージョンアップ!

配信から約10年。2021年12月に行われたバージョンアップでは、ユーザーインターフェースが大幅に改善され、より見やすくわかりやすくなりました。

これまでの見た目▼

バージョンアップ後の見た目▼

また、下記の新機能が追加されました。

  • 【新機能】
    避難所混雑状況の表示:自治体が発信する避難所混雑状況を地図に表示(現時点の国内人口カバー率は35.7%)
  • 現在地リスク情報表示:土砂災害警戒区域、洪水浸水想定区域、津波浸水想定区域の内外判定と判定レベル表示
  • 現在地の防災情報表示:避難情報、気象注警報、土砂災害警戒情報、指定河川洪水予報、河川氾濫情報を表示。最大3カ所までプッシュ通知が可能

「避難所混雑状況の表示」は、自治体がリアルタイムに発信する避難所開設情報を収集し、混雑状況をアプリに表示します。これにより、災害時に住民が避難先の空き状況を確認しながら行動できるため、“避難所まで行ったものの、入れなかったために逃げ遅れる”という被害の発生状況を回避します

また、ハザードマップの内外判定と判定レベルの表示により、自分のいる場所が土砂災害警戒区域や洪水浸水想定区域に入っているかなど、現在地の災害リスクを把握できるようになりました。

多発する豪雨災害に効果ありか

今回のバージョンアップで追加された機能の背景には、近年立て続けに大きな被害が生じている“集中豪雨”などへの対策が意識されているように思われます。

2018年6月に起きた「平成30年7月豪雨」の人的被害について調査をした論文によると、移動や避難の目的で行動中に土石流・洪水などに見舞われた犠牲者が多かったそうです。また、土砂・洪水および河川氾濫の犠牲者のうち、6〜9割が危険箇所内またはその近傍で発生していたとのこと。(参考:日本自然科学(2019).「平成30年7月豪雨災害による人的被害の特徴」.2021/12/18)。

国土交通省の「第5回 水害・土砂災害に関する防災用語改善検討会(2021年3月実施)では、豪雨被害の大半が災害の危険性が予め示されていたところで発生していることから、浸水想定区域や土砂災害警戒区域等の危険度に関する情報が市民に十分理解、活用されていないことが問題であるとされました。

水害や土砂災害はある程度の発生が予測できるため、適切に避難をすれば人的被害を最小限に抑えられる自然災害だと言われています。

にもかかわらず、ここ数年“逃げ遅れ”による被害が相次いでいることから、

  • 避難所に向かうための安全と確実性の確保

が早急に解決すべき課題だと考えられます。

「防災情報 全国避難所ガイド」に使いされた新機能は、避難所に到着したものの混雑して入れず、いつ災害が起きてもおかしくない地区をさまよったり、「まだ自分のいる場所は大丈夫」という気持ちでその場にとどまったり、行き場がわからず自宅へ戻ってしまい被災する、などという事例を防ぐことが期待されます。

まとめ

「防災情報 全国避難所ガイド」は32言語に対応。災害の影響で鉄道が運行停止し、帰宅が困難になった人を一時的に受け入れる“帰宅困難者一時滞在施設”などの情報もあります。普段から公共交通機関を使う方は入れておくと安心です。

年々増える災害に対して、より適切な行動ができるよう見やすく分かりやすくなった人気アプリ「防災情報 全国避難所ガイド」。まだ知らなかったという方は、ぜひチェックしてみてください。