地震や台風による災害が増えてきており、被災地では多くのボランティアの人達が活躍している。メディア等でも災害ボランティアの活動を取り上げられ話題となっている。しかし、災害直後の現場は非常に混乱しており、ボランティアがうまく稼働しないということもある。人数が多いと管理するのに手間がかかり、復旧に時間がかかってしまうのである。

今回は、被災地での支援活動をスムーズに進められるサービス「スマレプ」を紹介していく。

スマレプとは

画像:プレスリリースより
スマレプとは、クラウド型災害支援管理システムのことである。災害支援ボランティアにおける受付の課題を解決するために、株式会社TECH Designによって作られたものだ。この会社は防災事業を取り組んでいるIT企業であり、他には災害情報メディア「SAIGAI Journal」の運営もしている。

スマレプは、ボランティア要請を行ったときに複雑化する管理をクラウド上で完結することができ、ボランティアの受付もiPadやスマホで簡単に行えるのだ。事前にスマレプで登録し、当日に受付のQRコードを読み取るだけで受付が完了する。これによりスムーズにボランティア活動に取り組むことができる。

実際に2019年に千葉県館山市の災害ボランティアの現場で実証実験されており、すでに500人以上のボランティア受け入れをスマレプで行った。非常に役に立ち、今後のボランティア運営には欠かせないサービスになるとの声もある。受付を簡略化することで、少しでも多くの人が被災現場へ向かうことができる。まさに今後注目されていくであろうサービスだ。

スマレプ誕生の背景

画像:プレスリリースより
ボランティア団体は数多く存在するが、いざ災害時にボランティアを立ち上げようとしても専用の受付システムがない状態であった。ボランティアをしたい人もそれぞれ別のツールを使って参加しているため、まとめるのに苦労していた。被災現場に行く前の受付の段階で、すでに課題がある状態だった。

しかし、スマレプを導入することによって受付に使っていた労力や時間を削減することが可能。QRコードを読み取るだけで受付ができ、受付の無人化をすることが可能となるのだ。支援活動にかかる管理コストを削減することにより、被災地の復旧を早めることができる。

時間に限りがある現場では、ボランティアをどう受け入れどこに配置するかが重要視されている。災害直後は多くの人が被災地に殺到する場合もあり、受け入れ態勢が整っていないとボランティアが稼働できない。受け入れ態勢の早期構築と支援活動にかかる管理コストをどれだけ削減できるかが鍵となる。スマレプはこれらの課題解消のために必要不可欠なものになるに違いない。

災害ボランティアの課題

画像:プレスリリースより
災害ボランティアの活動は、必ずしもスムーズに進むとは限らない。2016年の熊本地震の際には、ボランティアの善意と被災者のニーズのマッチングが課題とされた。理学療法士の資格を持っている者に振り分けられたのがゴミの仕分け作業で、他に被災者の為にできることがあったのではないかという声もあった。

さらに、被災地に駆けつけても受付ができないという事態も発生した。駐車場が満車になり、受け入れたくても受け入れられず、引き返す車で列ができるほどだった。事前に人数を把握できていれば解消できることであり、こうした情報の共有も今後の課題とされる。

スマレプでは、開発段階ではあるが今後はボランティアを要請したい人と支援活動をしたい人をつなぐマッチングや防災イベント時にも利用できるアプリになる予定である。このようなサービスは、被災地の復興に役立つだけでなく、災害ボランティアと私達をより身近なものにしてくれるであろう。

まとめ

災害が多い日本では、今後も災害ボランティアの力が必要とされる。現場でのミスマッチを防ぎ効率的に進めていくことで、一日でも早い復旧ができる。その手助けの第一歩として、今後スマレプが普及していくことに期待だ。