あなたがこれまでに経験してきた「防災訓練」を、思い出してみてほしい。それは、毎回お決まりのパターンで、どこか緊張感の欠けたものだった、という印象を持つ人も多いだろう。

そんな防災訓練に新しい風をもたらしたのが、「体感型防災アトラクション」。「脱出ゲーム」を通じて、もしものときの行動を、より“自分ごと”として考えられる防災訓練だ。開始3年で15,000人以上が参加し、好評を得ている。

本記事では、そんな「体感型防災アトラクション」の魅力について紹介する。

体感型防災アトラクションとは

「体感型防災アトラクション」とは、謎解きを楽しみながら、災害時の対応を考える体験型の脱出ゲームだ。制限時間は30分。その間にチームでミッション(4問)をクリアし、脱出しなければならない。アトラクション内では迫力のある映像と緊張感のある音楽が流れており、緊迫した雰囲気が漂う。

ミッション内容は、災害に遭遇したときの行動が問われる内容だ。災害時に必要なアイテムの知識や、身の回りの物を利用して身体の安全を守る力が求められる。すべてチームで力を合わせて謎を解く形式だ。

体感型防災アトラクションが作られた背景と想い


防災訓練と脱出ゲームが結びついたきっかけは何だったのだろうか?

「体感型防災アトラクション」の企画運営を行うのは、株式会社フラップゼロ(本社:大阪市住之江区)だ。代表の松田哲氏は阪神・淡路大震災を経験しており、風化していく震災の記憶に危機感を感じている。

そこで、防災意識を若い世代に伝えるために、ゲーム形式で自然と災害時の知識が身に付けられる防災イベントの普及に取り組みはじめた。

防災訓練の抱える課題


防災意識といえば、学校や職場で防災訓練に参加したきり、という人が多いのではないだろうか。毎日の生活の中で、防災について考える機会は多くあるだろうか?

今の防災訓練には、大きく3つの課題がある。

  1. 子育て世代の参加者が少ない
  2. 参加者の固定化・減少
  3. 参加者の高齢化

特に若い世代は、防災訓練への参加率が低く、理由として「タイミングが合わない」「時間がない」などがあげられる。全国の自治体は、訓練離れが深刻だと悩んでいた。
(2015 年、兵庫県全域、人と防災未来センター「県民防災意識調査」より)

そんな中、「体感型防災アトラクション」は開始3年で計1万5千人以上が参加し、その内容の面白さが口コミで拡がっている。

災害時にどうやって助けあったらいい?


「体感型防災アトラクション」の魅力の1つに、「共助」を体感できることがあげられる。「共助」とは、家族や近隣住民で共に助け合うことだ。

災害時には、この「共助」と自力による「自助」で助かる人が、9割を占める。行政(消防・自衛隊など)による「公助」はわずか1割程度しかない。

そのため、まず自分自身が防災知識を身に付けていること、そして周りにいる人と助け合うことが大切になってくる。

「体感型防災アトラクション」では、チームでのクイズ形式にしているため、会話をしながら問題を解くことで、防災知識も、共助の力も同時に身に付けることが可能なのだ。

アトラクションに参加した多くの親子からは、「難しかった」「子どもが泣いてパニックになってしまい、どうしたら良いのか分からなかった」という声が上がり、実際の災害時にどうしたら良いのか、防災についてよく考える良い機会になったという感想が聞かれた。

防災意識の低下が危ぶまれるなか、こうしたゲーム形式を通した、防災意識の普及活動に大きな期待が高まっており、現在全国各地の自治体から開催以来が殺到している。いざという時、自分や家族を守るためにどうしたら良いのか、「体感型防災アトラクション」で学んでみてはいかがだろうか?