寒いと体が勝手に震えたり、具合が悪くなったと感じたことのある方は多いのではないでしょうか。もしかするとそれは「低体温症」に陥っていたのかもしれません。体温が奪われ、体の中が冷えきってしまう低体温症ですが、実は寒い時期以外にも、そして屋外屋内問わずに起こる可能性があるんです。今回はそんな低体温症の恐ろしさと、防ぐための最新アイテムについてご紹介します。

低体温症とは?

体温も命も奪われる危険な症状

低体温症とは体の中心温度が35度を下回ることで体の機能が正常に働かなくなる状態のことです。

「冷え性」と似たようなものだと誤解されやすいのですが、冷え性はただ手足や下半身が冷えて指先や足先が冷たさを感じることで、体温は下がりません。

低体温症は軽度(32~35度)では全身の震えが起こり、中度(28~32度)や重度(20~28度)になると臓器の機能低下や意識障害、昏睡などを経て死亡する確率がとても高くなります。

2011年3月に東北地方で発生した東日本大震災では、地震や津波を逃れたものの、自宅や避難先で低体温症となったことが原因で亡くなられた方々が複数いたことが記録されています(参考:鎌田 紘一,他(2021)東日本大震災における宮城県での低体温症犠牲者の実態分析,土木学会論文集B2(海岸工学)77(2).)。

また平常時においても冬季に雪道で車が立ち往生した際、被災者が低体温症により死亡した」という労働災害が報告されています(参考:厚生労働省「職場のあんぜんサイト 労働災害事例」)。

先ほどあげた2例はどちらも寒い冬に発生したものですが、人によっては気温15〜19度でも低体温症を発症することがあります。

  • 雨や汗で体が濡れたままの状態で風にあたる
  • 生活習慣の乱れや栄養状態の悪化、筋肉量の減少で普段から体温が低い
  • 持病などで臓器の機能が低下している
  • 加齢により寒さに対する感覚が鈍くなっている(老人性低体温症)
  • 酔っ払った状態で屋外にいる(飲酒によって全身の血管が拡張し、体の熱が外へ逃げやすくなっている)

上記のような状態の方は、低体温症を発症するリスクが高まるといわれています。

「でも、暑い夏場は大丈夫なのでは……?」と思われそうですが、実は夏も低体温症は起きるので注意が必要です。

夏の低体温症による事故例

夏は梅雨前線や台風の影響で、1年の中で最も水害が起きやすい季節です。外出中にゲリラ豪雨などでびしょ濡れになり、冷たくて寒い思いをした経験がある方もいるのではないでしょうか。濡れたまま長時間風にさらされたり、クーラーの効いた部屋に入ったりすれば、体温が一気に下がって低体温症を発症する可能性はゼロではありません。

特に屋外イベントは要注意です。

2013年7月27日に東京都で開かれたアイドルグループの野外コンサートでは、突然の激しい雷雨により、低体温症などで41人が病院へ緊急搬送されました同年8月15日には、長野県諏訪市で行われた花火大会の最中にゲリラ豪雨が発生し、雨に打たれたことによる低体温症で71人が搬送されました。

雨で濡れても服を着替えたり体を乾かし、温かい飲み物などを飲めば簡単に低体温症を防ぐことができます。

しかし屋外イベントのようにすぐ着替えられる場所がないときは低体温症になるリスクが高まる一方です。とはいえ、外出するたびに着替えやタオルなどをカバンの中に入れて過ごすのは、荷物がかなり増えるので現実的ではありませんよね。

すぐに着替えられない時には、濡れたままでも体温が奪われないようにする工夫が必要です。

低体温症予防には「エマージェンシーシート」がおすすめ

緊急時の体の保温に特化したアイテム

みなさんは「エマージェンシーシート」をご存知でしょうか。

エマージェンシーシートとは、アルミニウム蒸着ポリエステルなどの極薄素材で作られた防風・防寒・防水の機能を持ったシートのこと。内側が熱を反射する素材でできており、寝袋のようにしたり体に巻きつけることで体温を逃さず、緊急時に低体温症になることを防いでくれます。

登山やキャンプのように、気温が低くなりやすい高所や屋外でのアウトドアアクティビティ愛好家の間では知名度が高いアイテムです。

現在市場にはたくさんのエマージェンシーシートが出回っているのですが、その原型はアメリカのGRABBER社 (グラバー) が1964年に発売した「Grabber THE ORIGINAL SPACE BRAND Emergency Blanket」だと言われています。

引用:MPIエマージェンシーブランケット|iizukaco

GRABBER社の製品は品質、耐久性、そして緊急時における信頼性が高いのが特徴で、オリジナルの発売から長い年月が経っても世界中で愛用されています。

ところで、GRABBER社が扱う製品のうち特に人気なのが「オールウェザーブランケット」です。2023年5月には最新型となる「オールウェザーブランケット2」の発売が始まり、アウトドア愛好家を中心にますます注目を集めています。

前バージョンの「オールウェザーブランケット」とは

さっそく最新型の製品紹介をしたいところですが、そもそもこれまで発売されていたオールウェザーブランケットとはどういうものなのかをご説明させてください。

オールウェザーブランケットはその名の通り、「全天候(=all weather)」で使えるアイテムです。

通常のエマージェンシーシートが通気、透湿、耐久性などの機能性を追求せず、緊急時に体温を保持する目的に特化しているのに対し、こちらは日頃から多目的な利用が想定されており、機能的にも耐久性にもすぐれています。

例えば、レジャーシートのように敷物にしたり、荷物に被せて雨風や汚れから守ったり、四隅にロープを通せる穴が設けられているので野営のタープ代わりにしたり。わずか0.5mmの薄さでありながら、さまざまな場面で繰り返し使えます。

もちろん通常のエマージェンシーシートのように体に巻いて体温保持にも十分使えます。

オールウェザーブランケットはシルバー面を内側にして身体を包むと、人体から放出される熱が反射され、体温が外へ逃げないようにしてくれます。完全防水・完全防風なので、風雨によって体温が低下するのも防ぎます。

のちほど説明しますが、特殊な繊維と多層構造のおかげでマイナス20℃の厳寒時でも生地の柔軟性が損なわれることなく、極寒の環境下でもしっかり身体を包むことができます。逆に、炎天下ではシルバー面を外側にして身体を包むことにより、直射日光の熱を反射して体温の上昇を緩和し、熱中症にかかりにくくします。

生地はプラスチックフィルム、アルミニウム、ポリエチレン繊維、プラスチックフィルムの4層構造でできています。

中でもポリエチレン繊維は「Astrolar reinforcing fabric」と呼ばれる特殊繊維で、NASAのアポロ計画用に開発され、今でもスペースシャトル計画に使用されているものと同じものだそう。宇宙と地球を行き来する現場で使われている品質だからこそ、どんな天候や使い方にも繰り返し耐えられるわけですね。

また、オールウェザーブランケットはFDAから「医療機器認証」を正式に取得しています。FDAとは日本でいうところの「厚生労働省」に該当するアメリカの公的機関です。とても高水準な製品なので、全米ボーイスカウト、軍隊、救助隊など主要機関でも正式採用されています。

最新型「オールウェザーブランケット2」は何が変わったのか

従来品でも十分機能的だったオールウェザーブランケット。新しくなった「オールウェザーブランケット2」は何が変わったのでしょうか。

1. 生地が4層構造から5層構造に

オールウェザーシートの魅力であった丈夫な4層構造の生地が、使用素材を変更し、さらに5層へとパワーアップしました。

内側のシルバー面は体温の最大約80%を反射し、しっかり保温してくれる高純度なアルミ蒸着PETフィルム。一番外側のポリエチレンシートは撥水性・防水性・防湿性が高く、強い雨風の中の使用も耐えられます。

間には2層のポリエチレンフィルムとポリエステルメッシュシートがはさまれています。ポリエチレンフィルムは耐衝撃性や強度にすぐれており、ポリエステルメッシュは湿度に強く、高強度、耐候性、耐薬品性、耐腐蝕性などの耐久性にすぐれている素材です。使用時だけでなく保管時の劣化をも軽減します。

2. 使用素材の変更により、引張強度が大幅アップ

オールウェザーブランケット2では引張強度が前バージョンに比べ、縦方向に約300%(約600N)、横方向に約125%(約240N)アップしたそうです。

一言に“丈夫な製品”といっても、「硬いこと」と「変形しにくいこと」と「傷つきにくいこと」が違うように、モノの丈夫さの定義にはいろいろあります。

引張強度とはざっくり説明すると、両サイドから材料を引っ張ってどれくらいの力でちぎれるのかを数字であらわしたものです。つまり、前バージョンより引張強度が高くなったということは、同じ力をかけたときによりちぎれにくくなったということを証明しています。

多目的での利用では引っ張ったり繰り返しするからこそ、高い耐久性は重要ですね。

3. ハトメ周りの補強が片面から両面に変更され、強度がアップ

タープなどで利用する際にロープやカラビナを通したりする「ハトメ」周りの補強が強化されました。

また、前バージョンはハトメが少し小さく(約5mm)、地面にシートを固定したい場合に使うペグがほぼ通せないことが難点でした(一般的なペグは直径6mm〜のものが多い)。

今回はハトメの内径が14mmと前回より約2倍の大きさになりました。一般的なペグであれば問題なく使うことができます。

4. パッケージが収納に便利なジプロックタイプにグレードアップ

購入時にはスライダー付きのジップロックバッグが付いており、収納と持ち運びが便利になっているそうです。折りたたんだ状態は約22×28cm。A4サイズが21×29.7cmなので、特に大きすぎる印象はありません。緊急時や車中泊に備えて、鞄や車の中に置いておきやすいですね。

ちなみに、広げたサイズは210×150cm。体を包むのには十分な大きさです。グランドシートにする場合、大人4人が座れます。

2023年5月〜日本で発売中

オールウェザーブランケット2は2023年5月から、高品質な防災用品・災害救助用品を輸入販売している株式会社パックスコーポレーション(本社:埼玉県鴻巣市、代表:岡﨑智好)によって輸入販売が始まりました。

国内では一般社団法人防災安全協会の推奨品マークを取得しており、防災アイテムとしての信頼性はお墨付き。屋外でのアウトドアを楽しむ方はもちろん、いつ起こるかわからない災害に対する備蓄品としておすすめできます。

まとめ

寒い時期や寒い場所で起きるイメージの強い低体温症ですが、状況によっては真夏でも発症することがあります。重症化すると命にも関わるので、非常に身近な危険です。地震のような災害下では、直接的な被害から逃れられても、その後屋内や屋外で過ごすうちに低体温症で命を落とすことも考えられるため備えが必要です。

体温の保持に有効なのがエマージェンシーシート、そしてオールウェザーブランケットです。世界中で支持されているオールウェザーブランケットの最新型・オールウェザーブランケット2は、約18か月に及ぶ開発期間を経て誕生したとのことで、その性能にとても期待が高まります。ぜひチェックしてみてくださいね。

 

 



参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000120761.html,https://paxjp.sakura.ne.jp/,https://www.nikkansports.com/entertainment/news/f-et-tp0-20130728-1164428.html,