近年、各地で大きな水害が相次いでいます。しかし大雨自体は、温暖化によって規模の変化はあるものの、地球活動の一部として長年繰り返されている自然現象。地震や火山の噴火なども同じです。それが起きやすい環境を人が住まいとして選び、何らかの被害を被ることで、初めて自然現象が「災害」となっている。そのことを私たちは忘れがちかもしれません。

2020年8月から国土交通省は、宅地建物取引業法(宅建業法)施行規則の改正に伴って、不動産取引時に「水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明」を、宅地建物取引業者に義務付けました。交通の便や家賃などの他に「土地の災害リスク」を考慮した住宅選びが、今後新しい住まいを探す方々にとって必須となっていくでしょう。

ハザードマップは国土交通省のサイトなどから閲覧できますが、今回紹介するのは、インターネットでの住まい探しの段階で「ハザードマップを確認できる地図検索機能」を追加した不動産ポータルサイトです。

不動産ポータルサイト初!ライフルホームズ新築一戸建て物件で『洪水・土砂災害・地震ハザードマップ』の提供開始

引用:https://lifull.com/news/20819/

日本最大級の不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」を運営している株式会社LIFULL(ライフル)(東京都千代田区、代表取締役社長:井上高志)が、2021年6月17日(木)より、スマートフォンで表示できる 『洪水・土砂災害・地震ハザードマップ』を「新築一戸建て物件詳細」に追加しました。

このサービスはリリース時点で、不動産ポータルサイト初ということです(株式会社LIFULL調べ)。

LIFULL HOME’S では、2020年8月に施行された「水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明義務化」に伴い、同年同月に“物件を地図から探す機能”へ『洪水ハザードマップ』を追加していました。

今回の『洪水・土砂災害・地震ハザードマップ』はそれに引き続いた減災対策となります。

どんな機能?

『洪水・土砂災害・地震ハザードマップ』は物件エリアの地図上に洪水、土砂災害、最大震度、液状化のシミュレーション結果と、避難所情報を表示します。

  • 洪水:想定降雨量で河川がはん濫した場合に浸水が想定される区域
  • 土砂災害:各都道府県が調査・区域指定をしている、土砂災害が発生した場合に住民に危害が生ずるおそれがあると認められる区域
  • 最大震度:すべての地震の位置・規模、確率に基づき、各地域がどの程度の確率でどの程度揺れるのかを計算し、今後50年39%の確率で見舞われる地震の最大震度
  • 液状化:表層地盤の地形から液状化のしやすさを4段階で評価したもの
  • 避難場所:災害対策基本法に基づき都道府県及び市町村により作成された地域防災計画に示される避難施設の位置情報

このハザードマップによって、ユーザーは住まい探しの検討段階から物件エリアにおける自然災害リスクを知ることが可能になります。

なお、この機能はスマートフォンのみの表示ということです。

誰にとっても見やすく・わかりやすい表示

引用:https://lifull.com/news/20819/

色覚の障がいを持つ方が利用される可能性も配慮し、独自で色のバリアフリー対応もしています。

従来のヒートマップは色覚障がいのない人でも緑色・黄色・橙色の差が分かりにくく、T(3型2色覚)の色覚を持つ方の場合、緑色がグレーに見えるなどの問題がありました。

このハザードマップでは形状・サイズ・重ね方などの検証により、障がいのあるなしにかかわらず、どんな人でもそれぞれの差が分かりやすくなる色や柄が採用されています。

利用方法は?

引用:https://lifull.com/news/20819/

利用方法は下記の通りです。

  1. LIFULL HOME’Sサイト「新築一戸建て物件詳細」のページをスマートフォンで開く
  2. 画面下部にある「地図ページ」内「災害リスク」または「この物件の災害リスク」をタップ
  3. ハザードマップが表示されます
  4. 下部のタブで「洪水」「土砂災害」「液状化」「最大地震」の各ハザードマップが表示されます

 

今後、住まい選びは「防災・減災」が常識になりそう

引用:https://lifull.com/news/20819/

2020年に株式会社LIFULが実施した「自然災害リスクに対する意識」調査で、前年度に比べ「災害に強いエリアかどうか」を住まい探しの際に調べた人の割合が賃貸・売買ともに5%程度上昇した、という結果が出ています。

他項目の上昇があまりみられない売買のカテゴリーで最も上昇しており、近年の災害増加を受けて、人々の住環境に対する防災・減災意識の高まりが伺えます。

災害に強いエリアかどうかをいちいち別のサイトや地図でハザードマップを確認せずとも、物件情報と一緒にチェックできる『洪水・土砂災害・地震ハザードマップ』は便利なサービスといえるでしょう。

まとめ

今までの不動産サイトの地図機能は、住まい選びの比較のために確認できる情報が、最寄駅からの近さや近隣の街環境だけでした。

数種類の災害リスクを可視化したハザードマップと一緒に住まいを探せるLIFULL HOME’Sの新機能『洪水・土砂災害・地震ハザードマップ』は、これからの住居選びに活躍しそうです。
 

参考・引用:https://lifull.com/news/20819/