小型無人航空機、通称ドローン。ここ数年でニュースなどで目に触れることが多くなった。読者の中にはドローンを趣味にしたり、空撮に使ったりしている人もいるだろう。ドローンはラジコンヘリコプターにはない自律性を持っており、それがさまざまな分野での応用を可能にした。防災はその応用例の1つだ。防災におけるドローンの活用を見ていこう。
足立区と民間のドローン会社がドローン活用の協定を締結
2019年1月22日、足立区は株式会社ドローン・フロンティアと、災害協定を締結した。
この協定は、足立区内で災害が発生した際に、ドローンを用いて災害現場の情報をいち早く区役所内の防災センターに伝送するもの。これを皮切りに橋梁点検や人命救助の場面でもドローンの利用を進めていく予定だ。
ドローン活用の災害協定は足立区に限ったものではなく、各地の自治体で盛んに交わされている。実際に2017年の熊本地震の際に高速道路の復旧に役立てられた。
各地でドローン協定が結ばれるワケ
各地の自治体でこの災害協定を結ぶ動きが見られているが、なぜだろうか?ここで災害時におけるドローン活用のメリットを見ていこう。
まず、ドローンは小型で飛行できるためどんなところにでも行ける。人が立ち入りできない危険地帯のほかに、ヘリコプターでは機体が大きすぎて入れない場所にも侵入することができる。
また、ドローンは現場の状況を迅速に確認できる。ドローンは飛行するものなので地形や交通状況に左右されず、最短ルートでいける。操縦士自身がドローンに乗る必要もないため、すぐに飛ばすことができる。
災害時におけるドーロン活用の課題
こうした災害時におけるドローンの活用は万能であるように見えるが、いくつか課題が残っている。
一つは技術的課題だ。ドローンは小型機体であるがゆえに長時間の飛行に向かず、現状では最大で30分ほどしか連続飛行できない。また、ドローンは雨風の中では飛行できないため、風水害での活躍はまだまだ難しいだろう。
災害協定で結ばれた民間のドローンの操縦者はドローン操縦のプロであるが、災害救助のプロではない場合が多い。災害救助に慣れてないので、実際に災害に対面した際に凍りつき症候群になる可能性がある。凍りつき症候群とは、発災時にショック状態に陥り正常に身体を動かせない状態だ。そうした精神的負担に対する対策は、現状の訓練や制度では不十分であると指摘されている。
まとめ
ドローンは世間に認知されるようになった数年の間で、目覚ましい技術進歩を遂げた。その技術を使い、現在では災害現場で活躍している。ただ、ドローン技術はまだ完全ではないし、災害現場で操縦する人の訓練も十分ではない。しかし、発展途上であるからこそ、災害現場におけるドローンの活用は無限の可能性を秘めているのではないか。