被災した際に下水・上水が機能しなくなれば、自宅や避難所の水洗トイレはまず使用できない。そうなるとお風呂はともかく、トイレをどうするかというのは非常に大きな問題だ。我慢するのは体に悪いし、だからといって好き勝手な場所でやるわけにもいかない。人体へ悪影響をもたらさないよう、衛生面や匂い、汚物の処理を考慮したトイレを用意しなければならない。そこで今回は、災害時やいざという時に役に立つトイレを紹介したい。
1. ラップポン
自動ラップ式トイレ「ラップポン」とは、自動ラップ式排泄処理ユニットを搭載したポータブルトイレ。ラップというだけあり、使用するたびに排泄物を自動で密封する。
水を使わないトイレを可能にしたのは、日本セイフティー株式会社が独自に開発した自動ラップ機構。熱圧着により、排泄物を自動的に密封、個包装にして切り離すため衛生面も心配ない。
さらに、包装ラップに使われる特殊フィルムは外に匂いを漏らさない防臭仕様。このフィルムに使われている素材はポリエチレンだ。そのため、焼却する際に有害なガスが発生しないので環境にも優しい。
「ラップポン」は介護やレジャー、建設現場など様々な場面で導入されている。仕様方法も簡単で、自動で排泄物を密封してくれる手軽さは、災害の現場でも役に立つだろう。
2. 段ボールトイレ
災害時における段ボールの活用法はさまざまだ。簡易ベッドや、仕切り板、さらには仮設住宅にも段ボールが活用されている。そんな万能な段ボールは、もちろん緊急時のトイレにも活用できる。
2Lペットボトルの段ボールといった自宅にある段ボールでも、十分な強度を確保して座面を作り、内側にビニール袋を入れれば、簡単にトイレとして使用できる。しかし、そんなに都合よく段ボールが用意できるとは限らないし、自作のものだとどうしても安全面に不安がある。
そこで防災用品ショップやネットの通販などでは、段ボールトイレ用の段ボールなるものが販売されている。値段はピンキリだが、安いものでは2,000円から購入できるという手軽さも、段ボール製簡易トイレの魅力だろう。
また、さまざまな種類がある簡易トイレの中でも段ボール製のものは非常に軽いので持ち運びも容易。仕切りなどをきちんとすれば、プライバシーも確保できる。避難所だけでなく、水洗トイレが使用できなくなった被災地域の一般住宅でも役に立つだろう。
3. マンホールトイレ
マンホールトイレはすでに被災地で多く活用されているシステムだ。マンホールトイレの場合、下水道管のマンホール上に直接トイレを設置するのだが、マンホールは通常路上にあるなど使用するにあたり問題があった。しかし近年は、避難場所に災害トイレとして最初からマンホールトイレを設置するなど工夫がなされている。国土交通省もマンホールトイレの設備に補助金を出すなどしており、災害時におけるマンホールトイレの活用が期待されている。
マンホールトイレは自治体などが、備蓄や設置を行うものという認識があるかもしれない。しかし近年、コンパクトかつ軽量で、設置も簡単なマンホールトイレが販売されている。たとえば、株式会社総合サービスはバリアフリー設計のマンホールトイレや、無理な荷重や強風にも耐える丈夫なマンホールトイレを開発・販売している。
マンホール自体の場所や、備蓄、処理の方法などのさまざまな条件をクリアすれば、マンホールトイレは被災地域でのトイレ対策に役に立つことは間違いない。
大規模災害などで長期にわたってライフラインが途絶えた場合、トイレをどうするかという問題は深刻である。少しでも避難生活のストレスを軽減するためにも、生理現象であるトイレ問題について真剣に考え、備えておく必要があるだろう。