災害大国と言われている日本において、海におけるサメの存在が、サーファーにとっての大きな危機となっている。自身もサメによって足を失った一人の青年が、テクノロジーの力によって、サメの脅威を回避する画期的な製品が登場した。それが、今回紹介する「Fin for a Fin」である。
片足を失ったサーファーGlide fin氏の想い
1997年、サーファーのMike Coots氏はサメにより片足を失ってしまった。周囲がサメの排除の声を上げる中、彼はサメに対して違った感情を抱いていた。「人間がサメを恐れるように、サメも人間も恐れるのではないか」、「サメを殺すことは海を殺すことと同じだ、我々はサメと共存する必要がある」。彼はこのように考え、サメのサーファーとの共存を目指した。
サメとの共存「Fin for a Fin」とは?
「Fin for a Fin」とは、Mike Coots氏が立ち上げた、サメとサーファーの共存を図るプロジェクトである。このプロジェクトは、サーフボードに取り付ける小型の機器の開発と、それによって得た利益をサメ被害のためのコミュニティ“Dorsal”や、サメに関する教育を行っている団体“TAG FOR LIFE”の資金として寄付することにより成り立っている。
テクノロジーがもたらした共存への道
先述した小型の機器は、オーストラリアのサーフィン会社であるGlide Finsが開発し、万が一サメに襲われた場合に近くのコミュニティーに警報を届ける機能を有している。これによってサーファーたちは、危険なエリアを回避して、サーフィンを楽しむことができるようになった。また、ラミネート加工されたファイバーグラス性質のもので、非常に耐久性に優れている。当然のように防水性も有しているので、海上において利用でき使い勝手のいい製品である。
以上が、自身の経験を基にサメとの共存を図ろうとする青年の取り組みである。今までならサーフィンを楽しむ人にとっては、サメに襲われることに対してなす術がなかったであろう。しかし、テクノロジーの活用によって、海上における災害を一つ減らすことができ、また、彼の「共存」への想いも実現することができた。災害大国といわれる日本において、テクノロジーを組み合わせ防災に取り組む余地はまだまだあるのではないかと思わせられる事例であろう。
Fin for a Fin の公式ホームページはこちらから