普段、通勤している会社や買い物をしている店で災害にあった時、どう行動したらいいのかイメージはできているだろうか。避難経路や避難時の行動はわかっていても、人の流れや、建物内の状態までは把握できていない人がほとんどではないだろうか。

今回紹介するのは、VR(仮想現実)を使ってリアルな災害を体験することができる「maXim(マキシム)」。災害を可視化することで、イメージを備えるという新たな防災意識を持つことができるのだ。

建設会社から防災対策


maXimは、地震や火災など複数の災害予測や避難行動の解析結果を統合し、VR映像によって体験するシステムだ。開発したのは、大阪に本社を構える建設会社の竹中工務店。実際に体験してみないと伝えることが難しい災害を、スマートフォンとヘッドマウントディスプレイがあれば、誰でも簡単に見ながら理解ができる。

また、Wi-Fiを使って一度に30台以上を連動させることができるため、様々な人に説明がしやすく、体験した動画も複数人で共有できるため、そのあとの防災計画の検討も容易に行えるようにした。

maXimの特徴


建設会社ならではの視点から、建物の設計から管理などに使うBIMデータを活用し、火災が発生した際の煙の方向や、避難階段の混雑状況などを科学的な解析結果をもとにリアルに再現している。

今まで個別で考えてきた、地震・火災・水害を同時に体験できるだけではなく、人の行動、実際の建物の安全性を含めて体験・防災対策を考えられるのが特徴だ。

煙が溜まりやすい場所や、倒壊の恐れがありそうな場所を事前に理解しておくことは大切な防災対策になる。

今後の展開


VRによる災害の可視化という特徴を活かし、自治体や行政のハザードマップのVR化や災害発生時の避難誘導のリアルタイム化、まちづくりや都市計画における災害対策への応用、BCPコミュニケーションツールなど様々なことへの利用が考えられている。

「maXim」適用により、それらの対策や個々の技術の効果が見える化でき、建物の防災性能に対する理解と評価が促進され、建築主や施設管理者、またそれを使う人々の防災意識も向上します。これらプロジェクトごとの小さな効果の積み重ねが、「災害に強い建物やまちづくり」「国土強靭化」といった社会課題解決に寄与します。
(竹中工務店HPより引用)

公式のHPでもこう述べているように、今後の防災意識向上に欠かせないアイテムになっていくだろう。

建物によって、災害のパターンや避難行動も異なる。様々なイメージを持っておくことが有効な防災対策になるはずだ。自分が住む街や、馴染みのある建物が災害時にどうなるのか、maXimを使って体験してみよう。